Fender Rhodes Piano Maintenance from Oosaka フェンダー ローズ ピアノ 修理 大阪より2025.09.10

フェンダー ローズ ピアノ 修理 大阪より2025.09.10

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ピアノ職人・VIRA JAPAN 
(有)ラッキーパイン

2025.08.31大阪のお客様からの御依頼で、Fender Rhodes Piano Suitcase とFender Rhodes Piano Stage modelの2台をお預かりして来ました。先ず、ざっと見渡すと、鍵盤も汚れが付着しています。

音出しチェックの為に電源をいれて、4ピンケーブルを差し込もうとすると、中々ジャックに入りません。ジャックの角度を見てみると、かなり時計回り側にねじれています。何も起こらなければ良いのですが・・・また最低音の白鍵が戻って来ません。

鍵盤定規をあててみると、やはり中音部がかなり下がっています。こちらは鍵盤整調が必要です。

中のカバーも若干歪んでいて、きっちりとはまっていません。全体的に汚れも付着しています。

取り合えず、音出し確認をしてみました。音は全音出ていましたが、和音で弾くと音が割れます。ヘッドフォーンで聞いても割れていたので、これはプリアンプの何らかの不具合が原因のようです。

お客様よりタッチの事についてお問い合わせ頂きましたので、キーブロックの形状を確認しまいした。残念ながらこのタイプの鍵盤はチップを取り付けてタッチを軽快にする改良は出来ません。

2025.09.22先ずは音の歪みの原因を探る為に、一番最初に怪しいと思われる4ピンケーブルとコネクターの状態を確認する事にしました。そもそも4ピンケーブルを取り付けた時の角度がおかしいので、ケーブル側からチェックしてみます。

プラグを分解して内部を覗いて見ると、赤いラインの線がバラついています。

すべての線がハンダ付けされていない為、一部がばらけてほどけた状態になっていて、これがノイズ発生の原因の可能性が有ります。

念のため、再ハンダでワイヤーをハンダ内に納めました。またコネクターの取り付け角度も変えて、元の位置で接続出来る様にしました。

この状態で音出しチェックをしましたが、コネクターを触るとまだ音が歪みます。そうなると、プリアンプ側の受けに不具合が有る可能性が有ります。こちらは後日チェックします。

次に最低音の鍵盤が戻らない原因を調べてみました。隣の鍵盤との干渉、鍵盤の反り、異物の混入、ブッシングの膨らみ等、考えられる原因を一つ一つ潰して行きました。するとブッシングの片方がえぐれていてフロントピンに引っかかる状態になっていました。こうなった原因は分かりませんが、取り合えず修理をします。

当初はキープライヤーでブッシングを潰そうと作業しましたが、どうも上手く行きませんので、ブッシングを張り替える事にしました。

2025.10.02他の作業が取り込んでいた為、少し間が空いてしまいましたが、今日は鍵盤のバフ掛けを行いました。鍵盤の上面はそれ程汚れは目立ちませんでしたが、鍵盤を取り外してみると、見えない鍵盤のサイドはかなり汚れています。

コーヒーでもこぼしたような汚れも見られます。ただブッシングクロスまでは被害が及んでいなかったようです。

鍵盤の棚板もだいぶホコリが溜まっています。こちらはバランスピン、フロントピンを磨く時に綺麗にしましょう。

鍵盤サイドのよごれはバフ掛けだけでは落としきれないので、研磨剤を使って手磨きで下処理をします。

下処理をした後は、バフ掛けで仕上げますが、このままの状態でも結構綺麗になっています。

バフ掛けをした後は、キーブロックに付着した黒鉛のスプレーを落としてから、タルクスプレーを塗布して処理しておきました。

鍵盤サイドも綺麗になりました。

2025.10.03今日から本体の調整作業に入りました。先ずは鍵盤部の点検と調整を行います。

ハンマーは経年で減っていますが、取り合えず何とかなりそうです。ただ、何故かハンマーチップの横に木片を接着してあるハンマーが有りました。これは何らかの原因が有ってこのような状態にしてあるのでは無いかと思いますので、このままにしておきます。他にもハンマーの取り付けや走りに調整なものが有りましたので、全体的に調整しておきました。

バランスピンはサビは殆ど有りませんでしたが、キーピン磨きはしておきました。

フロントピンは一部サビが発生している所が有りましたので、そちらはサビ落としを行ってから調整しました。

キーピンは全て磨き上げましたので、これで鍵盤抵抗は若干ですが少なくなります。それ以上に将来にわたって鍵盤タッチが重くなったり、戻りが悪くなる事は防げるでしょう。

この後は、鍵盤をセットして全体の動きをチェックしました。

2025.10.06鍵盤のならしを行いました。この作業は鍵盤の高さを揃えて弾き易くする作業です。

白鍵のならしを終えたら、黒鍵のならしに移ります。

白鍵、黒鍵共に高さがピタッと合うと、タッチが揃って弾き易くなります。鍵盤の調整作業は他にも有りますが、今回は一通りの作業を行っておきました。

鍵盤関係の作業を終えて、この後はプリアンプの調整に移ります。

2025.10.10プリアンプの動作確認を行いました。当初ケーブルを繋げて音出しするとノイズが出る不具合が有りましたので、再度そのチェックから始めました。

プリアンプのカバーを外して内部をチェックした所、特に問題は無さそうです。しかし」ケーブルを繋いで音出ししてみると、コネクターの位置によって若干音量が変わったり、接触不良のノイズが発生したりします。

プリアンプ側のコネクターの配線をチェックした所、配線が微妙に接触しそうでしたので、配線の隙間を開けるようにしました。

ケーブル側の接点はグラスファイバーヤスリで磨いておきました。

それでもコネクターを左右にこねると、やはりノイズが出ます。

プリアンプ側のコネクターに緩みが有るのかと思い、別のコネクターで緩みをチェックしましたが、同じような緩みが有ります。これからどうするか、ちょっと考える事にします。

これまでの経験によると、コネクターを交換するのが一番早いのですが、しかしケーブル側も同様に緩みが発生している可能性が有り、交換しても症状が治まらない事が有りました。そこで、奥の手ではありますが、プリアンプ側のコネクターをタイラップで締め付けて本体に固定する方法をとりました。これまでも何回かこの方法で修理したモデルが何台か有りますが、一台もトラブルが発生していないので、こちらも同じ方法で対処します。

コネクター部分を揺らしてもノイズは出ません。この後、プリアンプ内部のチェックと接触不良対策を行っておきました。

取り合えず、プリアンプ関連の修理が完了しましたので、パネルをクリーニングして取り付けました。

2025.10.17調律とハープ調整、ボイシング調整をを行いました。こちらは割と安定してたので、そんなに時間をかける事無く、スムーズに行う事が出来ました。

午後からは外装のクリーニングと金属パーツの磨き込みを行いました。全体的にサビが発生していましたので、サビ落としをしたあと、バフ研磨で磨き込みをします。ただ、一点、アンプのハンドル取り付け金具のビスが純正の物では無い物に交換されていました。その為、ビスを外す時に内側の鬼目ナットが違うナットに交換されていたようで、アンプの内部にナットが落ちてしまいました。こちらは後日、スピーカーを外して内部を探してみます。出來得れば修理の時には純正品を使ってくれるとこのようなトラベルが起こらなくて済むのですが、修理をする方の考え方の違いなのかとも思います。当社では有り得ない事です。

鍵盤部の金属パーツを取り付ける前に、各ポジションのビスに緩みがないか、緩んでいる場合は増し締めをするようにしています。こちらのビスは全て問題無く、適正トルクで締め付けられていました。

フタの金具も磨き込んで取り付けました。明日以降、アンプの金具の磨き込みと内部のチェックを行います。

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