フェンダー ローズ ピアノ ステージモデル 売約済み 2025.09.22
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ピアノ職人・VIRA JAPAN
(有)ラッキーパイン

2025.09.22お客様が来店下さい、こちらのモデルをご購入頂きました。なので、早速調整作業に取り掛かりました。先ずはケースのメンテナンスから開始です。

内外装共、程度は良く、トーレックスの破れも一部のみですので、割と仕上がりが早くなりそうです。

内部のトーレックスに剥がれがありましたので、こちらは接着しておきました。

2025.09.23今日はお彼岸で、午前中お寺に行って法要に参詣して、午後から作業を行いました。本体のメンテナンスと鍵盤のバフ掛けまで行いました。この鍵盤は作りが通常のアコースティックピアノの鍵盤と違うので、作業中は神経を使い、時間も通常の倍の時間がかかりましたが、しっかりと仕上がりました。

2025.09.24あの暑かった酷暑日に比べて、気候が爽やかな季節となって、作業がはかどります。今日も午前中から集中して作業に取り組みました。先ずは、パネルの鍵盤抑えのフェルトを交換しました。

その後、ケースの金具を全て外して、外装トーレクスのクリーニングと補修を行いました。

せっかくなので、在庫の有る物は新品の金具に交換して取り付けました。

午後からはアクションセットを取り付けて次の作業の準備に取り掛かりました。取り付け前には拍子木を外して、バフ掛けしておきました。

アクションセットを取り付けてビス止めする時は、水平の状態で取り付けました。そうしないと位置が奥にずれてしまいます。全てのビスを取り付けてから本体を寝かせて、残りパーツを取り付けました。

次にバランスピン磨きを行います。この作業は鍵盤のタッチをスムーズにする為の作業ですが、こちらのFender Rhodesは鍵盤の形状が後期モデルとは違う為、鍵盤が重いです。それでも、少しでもスムーズに動いてくれるように作業します。

フロントピンも抵抗を少なくする為、同じように磨き込みます。

先ほど、本体を寝かせた為にバランスピンの紙パンチングが取れて、ハンマーの下に入り込んでしまったので、全てピンセットで取りました。、製造時に布パンチングの上に紙パンチングを乗せて鍵盤の高さ合わせをするのですが、Rhodes Pianoはそのままの状態で出荷されます。アコースティックピアノや日本製のエレクトリックピアノの場合は、布パンチングを上面にセットし直していますので、紙パンチングがどこかへ行ってしまう事は有りません。

取り合えず、鍵盤をセットしました。

剥がれ落ちた紙パンチングがこんなに有りました。

紙パンチングが剥がれ落ちている為、鍵盤の高さはバラバラになっています。これを鍵盤ならし作業で高さを揃えて行きます。

2025.09.25今日は朝から鍵盤整調の作業を行いました。バラバラだった白鍵の高さをそろえる鍵盤ならし作業を行って、まずは白鍵がピタッと揃いました。

その後、黒鍵もならしを行って、全ての鍵盤の高さが揃いました。やっぱり、気持ちが良いものです。

ならし作業を終えて、上面に有る紙パンチングをひっくり返して、布パンチングが上面に来るようにセットします。

この作業は、一度セッティングした鍵盤を再度取り外して、一つ一つパンチングを上下入れ替えて行く地味な作業です。「そんな面倒な事しなくても問題無いじゃん」と言った声が聞こえて来そうですが、そこが日本人気質とでも言ったら良いのでしょうか、見えない所もしっかりとやる職人気質が体を動かします。

MADE IN USAの合理的な考え方は、それはそれで新しい物を生み出して行くエネルギーになるのでしょうが、そこがMADE IN JAPANとの根本的な違いとなって来ているように思います。

そんなことを考えながら作業は順調に進んでいます。午後からいよいよ音出し調整作業に入ります。

午後は音出しチェックとハープ調整、ボイシング調整を行いました。とても順調に進んでいるのでうれしいのですが、こういう時に限って何かしら不具合が発生する事があります。

最後の仕上げに向けて、脚もセットして最終調整に進む事にしました。

ペダルセットもセッティングしてダンパーの効き具合もチェックした所、やはり嫌な予感は当たりました。ペダルを踏んでもダンパーが効きません。一回目はちょっとサスティーンがかかりますが、直ぐにダンパーロッドのつなぎ目が下がってしまいます。

再度、本体のチェックの為、ダンパーパネルを外して動作状況を調べましたが、特に動作に影響するような物は見当たりません。さて、どうしましょう。剥がれ落ちた紙パンチングがこんなところにに溜まってましたので、全部取りました。

2025.09.26今日は朝からダンパーの不具合の原因追及となりました。ダンパーパネルを外しては、取り付け、取り付けては外す作業が続きました。確かにダンパーパネルを手で押し込むと重い感じがします。ダンパーの取り付けバーも取り外して、グラつきや抵抗が無いか調べましたが、規定範囲内の状態です。どうも原因がつかめません。

ダンパーパネル自体の問題なのかとも思い、Mark2のダンパーパネルを外して比べてみましたが、奥行きが長くなっていてケースに干渉してしまう為、交換しての取り付けは出来ませんでした。やはりダンパーの奥行きが短いのがダンパーが重い原因の一つなのかとも考えられます。ここまでで、午前の部は終わり。再度午後に挑戦です。

以前もステージピアノでダンパーの効きが悪い個体が有って、その時はダンパーロッドを交換したことを思い出しました。もしかすると、ダンパーの重いのはこのモデルの特徴で、原因はダンパーロッドに有るかも知れない。そう考えて、当社の在庫品からダンパーロッドを拝借して取り付けて試してみました。
すると、やはり問題無く動作しました。原因はダンパーロッドのストッパーに有ったようです。これでやっと、最終調整に移ることが出来ます。

何とか全体の動作も問題解決したようですので、先にフタのクリーニングを行っておきました。

フタの金具も外して、こちらは磨き込みをしておきました。週明けに本体の最終調整を行って、今月中に作業完了の目途が立って来ました。

2025.09.28午前中から本体の調整作業を行いました。元々調整されていて、全体の程度が良かったので、調整、調律もスムーズに進みました。

午前中いっぱいで全ての作業が完了しました。後は数日間エイジングをかけて状態の変化を見ます。

2025.09.30最終の動作チェックを終えて、問題の無いことを確認しましたので、納品の為に準備に移りました。先ずは、本体のカバーを取り付けて、背面のFender Rhodesのエンブレムが配送時に割れたり破損しないように、段ボールで覆って養生しておきました。

その後、付属品もチェックして本体と一緒に保管します。後は無事に納品出来る事を祈っています。
2025.10.06無事にお客様の元にお納め出来ました。有難うございました。