フェンダーローズ スーツケース73鍵モデル 販売品 2025.03.19 売約済み
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ピアノ職人・VIRA JAPAN
(有)ラッキーパイン

2024.08.01入庫したFender Rhodesの動作確認をする為、本体を組付けました。

外装もスピーカーネットもかなりくたびれています。

2024.08.03音出し確認をしようとした所、プリアンプの出力端子が4ピンメスでは無くオスに変更されていました。元々の使用なのか、どなたが何らかの理由で交換したのかは定かではありませんが、このままでは音出しが出来ないので、端子の交換をします。

また、アンプ側のコネクター部の形状もRound DINでは無く、Square Cinchでしたので、こちらもケーブルを制作しました。

2024.08.07コネクター、ケーブル関係を交換、制作して音出しをしてみましたが、ハムノイズの為、音が出ていません。これはなかなか厄介な事になりました。コネクター交換時の配線番号のミスなのか、プリアンプの部品の故障なのか、目星を幾つか絞ってチェックをして行きます。

2024.08.16色々と動作チェックを行って行くうちに、先ずアンプは問題が無い事が確認出来ました。次に4PINケーブルも問題無い事が確認出来ました。そしてハープをダイレクトにギターアンプに繋いで、ハープも問題が無い事が確認出来ました。となると、残るはプリアンプです。配線関係を全てチェックして電源オンにすると、やはりノイズが出てローズの音が出ていません。しかしプリアンプ内の動作は確認出来ましたので、こうなるとハープからプリアンプに信号を送るRCAケーブルが怪しくなってきました。そこで、ケーブルの導通とショートが無いか確認した所、配線が途中でショートしている事が分かりました。取りあえず応急処理をして動作確認を行いました。
2025.03.19お客様がご来店下さり、こちらのモデルを御購入頂く事が決まりました。かなり大掛かりな修理になるので、気を引き締めて作業に取り掛かりたいと思います。
2025.05.18他の修理が立て込んでいた為に、なかなか手を付けられない状態でしたが、今日から本格的な修理、メンテナンスを開始しました。先ずは音出しをして状態のチェックを行いました。取り合えず全ての鍵盤からの発音は確認出来ました。

内部を見ると、何故かプリアンプのフォーン端子がハープベースのブロックに食い込んでいます。

これは元々こうだったのか、それとも後からプリアンプを変えたためにブロックに干渉して、削ったのかは分かりません。今後作業を行って行く中で、どうするか検討して参ります。

今回はトーレックスの張替も入るので、先ずはアクション関係のパーツを取り外します。どこにどのビスがとまっているかを確認しておきます。

ハープ、アクションパーツ全て取り外して、ケース単体にしました。

トーレックスの張替の場合、長期間パーツ類を保管しておかなければならないので、スペースが必要になります。その為、他の修理品が一杯の場合は、どうしても作業が後回しになってしまいます。今回、何とか修理品の出荷が続いたので、スペースも確保出来て、やっと作業が開始出来ました。

鍵盤ブロックのフェルトは虫食いが発生していたので、全て張り替えます。

一枚剥がしてみた所、元々は赤いブッシングが貼られていたようですが、白いフェルトに張り替えたようです。

2025.05.20古いブッシングを剥がす作業を行いました。先ずはアイロンを当てて接着剤を軟化させます。

半分を終えた所で、最初の鍵盤に、試しに新しい赤いブッシングを貼ってみました。鍵盤ブロックに残った接着剤を取り除くのにアセトンでふやかそうと思ったら、アセトンがどこかに紛れ込んで居場所が分かりません。仕方ないのでシンナーでふやかしてからペーパーでカスを削ぎ落しました。取り合えず形になりそうです。

鍵盤ブロックに残った接着剤を落としながら、鍵盤も拭き取りして行きます。接着剤は落とさなくても新しいブッシングは貼り付けられますが、やはりキチンとやらないと後で何か起こった時に自信をもって対応出来なくなるので、ここは時間がかかっても綺麗に、しっかりとやっておきます。

結局今日一日かけて3/4の鍵盤の下処理を終えました。

2025.05.23今日は残りの鍵盤ブロックの接着剤剥がしを行い、全ての鍵盤の下処理が完了しました。

2025.05.25ブッシングクロスを3.81㎝でカットして行きます。この3.81㎝は元々貼ってあったブッシングクロスの寸法で、1.5インチになります。

1ロールをカットした所71枚となりました。残念ながら1枚足りないので、新しいロールで最後の1枚を切り出しました。

鍵盤ブロックへブッシングクロスの貼り付け作業を行いました。ここまでで今日は時間切れとなりましたので、明日続きを行います。

2025.05.26残りのブッシングクロスを張り付けて、全鍵盤分の張り替え作業が終わりました。

2025.05.29鍵盤部のトーレックス張替の準備に入りました。

先ずは金具の位置をチェックしてから、全ての金具を外しました。

その後、ドライヤーであおりながら古いトーレックスを剥がして行くのですが、古いモデルの接着剤はかなり頑固で、簡単には剥がれません。塗装と接着はどちらも慌ててやるとロクなことが無いので、時間をかけて作業を進めて行きます。

2025.06.02こちらのトーレックスはなかなか手ごわく、今日午前中いっぱいかけても、ここまででした。

2025.06.03今日の午後一杯かけて、トーレックスを剥がしました。何でもそうですが、昔の物は全てがしっかりと作りこんであります。このモデルのトーレックスも簡単には剥がれてくれませんでした。剥がしたトーレックで型紙を作って、同じ型の新しいトーレックスをカットして作って行きます。

2025.06.12鍵盤部のケースのトーレックスを剥がした後の、残った接着剤を剥離しました。

水でふやかして、ハケで手作業できれいに落として行きます。こんな作業をしている時は、色々な事が頭をよぎります。今回は「合理的」と言う言葉が浮かんで来て、今やっている作業は全く合理的でないと感じました。しかし、合理的とは一体何を指すのかと考えたら、「楽をして同じ結果を得る事」と言う答えが浮かんで来ました。答えが合っているかどうかは別にして、合理的が悪い事ではないのでしょうが、非合理的な中に日本人気質であったり、職人気質と呼ばれる価値観が有るのだと感じました。結局午前中一杯かかって、一面だけ出来ました。

今日一日かけて、なんとか古いトーレックスの接着剤を剥離出来ました。この後は数日乾燥させた後、表面にペーパーを当てて面調整を行い、その後木部のささくれ、剥がれ等は接着して、凹み部分はパテ埋めして平面を出します。

2025.06.14割と乾きが早かったので、木工パテで凹みを埋めました。このまま週明けまで置いてから、ペーパーで平面を出して行きます。

2025.06.27他の修理が立て込んで、中々時間が取れないでいましたが、厄介な修理が終わりましたので、やっとこちらの作業に集中出来そうです。

そこで、アンプのトーレックスの張り替えも一緒に行う事にしました。先ずは、全てのパーツを取り外して行きます。

アンプを見ると、何か後付けで基盤が取り付けられていました。

何の基板かは不明ですが、取り合えず全て外す事にします。

アンプを外す為には、全面のスピーカーも外さなくてはならないので、最終的に全てのパーツを外す事になります。

トーレックスの一部をめくって下地の状態を見ました。これからいよいよ大仕事に入ります。

2025.07.01アンプ部のトーレックスを全て剥がしました。

2025.07.03下処理後、トーレックスの貼り込みを行いました。接着が乾くまで時間をかけるので、一日一面と言ったところでしょうか。

2025.07.05本当に一日一面と言ったスピードで、アンプ側の3面の貼り込みまで行いました。

2025.307.06アンプユニットの最後の一面の貼り込みを行いました。

画像があまり変わり映えしないので、同じ様に見えますが、一面、一面完成しています。

2025.07.08アンプ側のトーレックスの貼り込みを終えて、新品の金具の取り付けを行いました。

Rhodes Suitcase Legsは新品パーツが無いので、オリジナルのパーツをクリーニングして取り付けました。

アンプ部のトーレックスの貼り替えが終わりましたので、鍵盤部の貼り込みに移ります。

2025.07.10鍵盤部のトーレックスの貼り込みを行っています。

2025.07.11ハンドルやコーナー金具の取り付けを行っています。一部、新品パーツが不足していましたので、オーダーをしました。

本体のダンパーロッドホールのクロスがボロボロになっていたので、こちらは張り替えました。

ダンパーロッドのクッションもへたって、ボロボロになっていたので張り替えました。このパーツは単純な形状ですが、クッションの厚みが厚すぎるとダンパーパネルを担いで、持ち上げてしまうので厚さには気を付ける必要があります。

2025.07.13今日は少しでも先に進めるために、休日返上でアクションをセットして、裏からビス止めして固定する作業を行いました。

2024.07.14本体にメインアンプを取り付けました。寝かせた状態でないとアンプが重くて、ビス穴にキッチリと入らないので、再度寝かせて取り付けします。

しっかりと元の位置にアンプが取り付けられました。

その後、フロントのスピーカーを取り付けました。スピーカーの左右と上下は外す前の画像でチェックして、間違いなく取りつけました。

2025.07.15内部調整の一環として、バランスピンとフロントピン磨きを行いました。この作業は鍵盤動作に大変影響する内容です。特にバランスピンは鍵盤の動作と重さに亘って影響しますので、地道な作業ですがしっかりとやっておきます。ピンの根元にサビが発生しているものが幾つか有りましたので、こちらはサビ落としも行っておきました。

フロントピンもパンチングを外して磨き込みしておきます。

2025.07.17今日は鍵盤ならしの整調作業を行いました。鍵盤の高さがガタガタだと弾きにくく、音色も不揃いになるので、この作業は大切な作業となります。

特に中音部は鍵盤が下がり気味になりますので、きっちりと揃えておきます。

黒鍵も同様にならし整調を行いました。これまでメンテナンスを行ったRhodes Pianoで鍵盤整調されていたものは殆ど有りませんでした。アコースティックピアノの場合は割と行われる鍵盤整調ですが、エレピの場合は殆ど行われる事は有りません。エレピの場合、アコースティックピアノ程タッチを気にしないからなのかも知れません。

2025.07.18プリアンプの動作確認を行い、一部接触不良と断線が有ったので、修理して問題無く動作するようになりました。ただ、プリアンプのパネルの形状を見ると、当社在庫の物と比べてアクセサリー端子の位置が異なっていました。その為、ハープベースのブロックを削っていたものと推測されます。そうすると、内部の基盤を後付けで取り付けたものと想像されます。

音出し確認が出来た所で、調律、ハープ調整、ボイシング調整等調整作業は最後にして、フタ部分のトーレックスの張り替えを行います。

トーレックスの張り替え等の作業は接着剤が乾くまでの時間必要ですので、先に作業を行います。ここの所集中して作業が出来ているので、進捗状況が良いです。このペースで作業が出来れば今月中に完成する事も出来そうです。

2025.07.19フタの部分のトーレックスの張り替えが終わりましたので、スピーカーネットの張り替えを行います。今日は古いネットを取り外す所までで時間切れとなりました。

2025.07.22フタの裏に付いていたシールド用のパネルはしっかり作られていたので、そのまま使う事にしました。

鍵盤部のフタにも金属パーツを取り付けました。

今週末から、また新たな修理依頼がドッと入って来ますので、時間の取れる今のうちに早めに仕上げておこうと思います。

スピーカネットを新品に張り替えました。この作業は専門の貼り屋さんがいる位、難しい作業で、私にとっては不得意な分野ですので、おまけのサービス作業ととらえて下さい。

2025.07.23背面のスピーカーネットも張り替えて、Fender Rhodesのエンブレムも取り付けて、いよいよ最終段階に入ります。

2025.07.26プリアンプパネルを純正品に交換して取り付ける作業を行いました。しかし、それまで問題のなかったプリアンプがいきなり動作不良を起こしました。どうもはっきりした原因が突き止められません。

そこで、当社在庫品で、トラブルが起こらないように内部パーツを交換してあるプリアンプを取り付ける事にしました。これから先、何十年もトラブルが起きないようにと考えると、これの方が安心です。

いよいよ最終段階と思って、音出しをした所、今度は片方のスピーカーから、音が出ません。背面のスピーカーパネルを外して電源とアンプ周りをチェックした所、電源ユニットの片チャンネルに動作不具合が有りました。こちらも内部の電源ユニットを交換する事にします。

2025.08.07交換パーツが入荷しましたので、交換作業を行って行きます。先ずは、電源ユニットを本体から取り外します。

4ピンコネクターが取り付けられていた所は、本来はヘッドフォーンジャックが取り付けられている箇所でした。ここはどうするか、作業を行って行く中で、検討して行きます。

裏蓋と内部パーツが両面テープで接着されていて、フタを外すのに時間がかかりました。

丁度一年前に同じ作業を行っているのですが、以外とやり方を忘れています。

取りあえず、プリアンプからのケーブルを繋ぐ、取りあえず、プリアンプからのケーブルを繋ぐ、 Square Connectorを取り付けるまでで、今日の作業は終了。

2025.08.15途中の作業風景は写メを取り忘れてしまいUP出来ませんでしたが、電源ユニットの交換は完了して、ヘッドフォーン端子も取り付けて、これでいよいよ完成!

と思ったのも束の間、どうもどちらかのチャンネルで歪が出ています。今度はパワーアンプの不具合が発生したようです。当社在庫の物を使って試してみましたが、当社在庫のパワーアンプも動作不良を起こしていました。ヘッドフォーンでモニターすると綺麗に発音しているので、やはりパワー段の不具合のようです。
2025.08.17パワーアンプのセットがもう1セット有ったので、それを試してみました。するとこちらは問題無くきれいに発音してくれました。これから調律とハープ調整、ボイシング調整をしながら、動作チェックを行って行きます。これで何とかゴールが見えて来ました。

2025.08.18電源ユニット、アンプ、背面スピーカーも全てセッティングして、調律と音色調整に入っています。この背面スピーカーを開ける事無く、全てが進む事を願っています。
2025.08.19今日は朝から最終調整作業に入りました。しかし、調律と音色調整をしていると、何か違和感を感じます。よくよく調べてみると、和音で弾いたときに音が歪みます。昨日から音の歪みが気になっていたので、もう一度全てを点検しました。パワーアンプなのか、スピーカーのへたりなのか、それとも交換した電源ユニットなのか、どうも原因が分からないまま、再度全てのユニットを一からチェックしました。
そして、最後にたどり着いたのはプリアンプでした。プリアンプはパーツ交換したユニットを取り付けていたので、これが原因とは思いもしませんでした。

結果的に当初付いていたプリアンプのRCAケーブルを交換して、取り付けてやっと全ての問題が解決出来ました。とにかく、長い道のりでした。

全てが完了したと思ったら、もう一つ悩み事が出て来ました。こちらのフタは上にシンセサイザー等の楽器を載せる為にハーフカットになっています。その為中ブタが欠損していたので、在庫の中ブタを取り付けたらフタが閉まらない。これは仕方無いので、中ブタは取り外した状態で運ぶ事にします。
2025.08.31結局中蓋が閉まらなかったので、ダンパーバーの取り付けバーが左右に出っ張っていた為、カバーに干渉した為と分かり、ダンパーバーを調整して解決しました。この日、無事にお客様の元にお納め致しました。有難うございました。