フローラ アールウィンザー修理
1.外装修理
フローラ アールウィンザーは木目の綺麗なピアノです。
日本の高度成長期にかなりの台数が製造販売されました。
元々ピアノは黒のピカピカしたものと言ったイメージが根強かったですから、
こういった木目の鏡面仕上げのモデルを販売するのはリスクもあったと思います。
しかしそれまでになかった斬新なモデルとして、販売台数を伸ばして行ったのでしょう。
それから40年以上が過ぎ、日本の高湿度の影響により、
本体は特に下部から傷みが出ていました。
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ピアノ職人・VIRA JAPAN
(有)ラッキーパイン
〒243-0804 神奈川県厚木市関口466‐1
左右の妻土台(ピアノの脚の下の部分)の化粧板が剥がれかけていて
お客様も気にされていましたので、補修作業を行いました。
手っ取り早く化粧板を剥がして新しい物に張り替えてしまっても良かったのですが、
やはりそこは元の状態を復元する方法をとりました。
腕利きの家具修理職人の手によって、見事復元に成功しました。
補修作業については、着色をする時に見る方向によって色が違って見える
方向変色に注意して、目線を考えて補修を行っていきます。
また、他の細かなキズも一緒に修理して、綺麗になりました。
本体はパーツを外して、寝かせた状態で作業を進めて行きます。
ピンサビ、弦サビ落とし
外装塗装面バフ研磨
フェルト、クロス関係の交換
内部清掃を進めて行きます。
この状態でペダルを外し、磨き込んで行きます。
磨き込み1 一般の作業はここで終わる場合が多いです。
磨き込み2 ここまでやればほぼ完ぺきです。
経年劣化を抑える為にコーティング処理
2.アクション修理
ピアノのアクションは鍵盤をたたいた力をハンマーに伝え、
ピアノの弦をたたいて、音を出す重要な機構です。
このアクションの1個1個のパーツが、スムーズに動作しなければ
鍵盤のパワーをスムーズに打弦に移すことが出来ず、
結果「思うように弾けない」「弾きにくい」ピアノとなります。
従って、アクションの動きは一つ一つが均一でスムーズでなければなりません。
また、ハンマーが弦に当たる位置、角度も重要です。
野球でホームランを打つ時には、バットの芯にボールを当てなければなりません。
ちょっとでもずれると、凡フライや当たりそこないになってしまいます。
ピアノの打弦機構も同じ理屈です。
アクション調整 スティック修理やハンマー調整中
動きの怪しいハンマーは全部センターピン交換
3.鍵盤調整
現在、鍵盤調整中です。鍵盤をすべて取り外して、棚板を清掃しました。
虫食いの被害は有りませんでした。
鍵盤は演奏者がピアノと接する一番大事な部分です。
鍵盤の動きがスムーズで均一でないと、思い通りの演奏が出来ません。
また、鍵盤の下はパンチングと言う羊毛で出来たクッション材が敷き詰められています。
このパンチングは虫がつきやすく、虫食いが始まるとパンチングだけでなく
鍵盤ブッシング、アクション、ハンマーと虫食いが進んで行く事が有り、
ピアノにダメージを与える原因の一つとなりますので、注意しなければなりません。
鍵盤調整を行って行く時には、鍵盤一つ一つを目視でチェックしますから、
鍵盤ブッシングの摩耗状況や、虫食い、鍵盤の歪みや反り等も同時にチェックします。
その上で、バフ研磨をして、穴コロシ(鍵盤のスロットルの調整)をします。
鍵盤は下処理を行なってから、バフ研磨と整調作業を行います。
バランススロットルとフロントブッシングに黒鉛を一つずつ塗布して行きます。
88鍵全てをやるので、結構時間がかかります。
4.全体調整、調律、シーズニング
取り外したパーツは一つ一つサビ落としとバフ研磨で、綺麗にして行きます。
汚れとサビがかなりしつこかったです。
アクションの調整も終えて本体に取り付けて、調律作業を行っています。
ピンが固く、弦も渋滞気味の為、安定までに時間がかかりそうです。
弦の渋滞と言う表現は、調律師であればすぐに分かると思いますが、
調律をする時にチューニングピンを回すと、
普通は回す量に比例して音程が上がって行くのですが、
弦が渋滞していると、回しても音程は変わらず、
有る所まで来ると、一気に音が上がる事を言います。
調律がしにくく、音を安定させるのも苦労する現象です。
3回調律をしてシーズニングに入ります。
しばらくこの状態で置いて、変化を見ます。
長い間使っていなかったピアノを、元通りの状態に戻した時
使っていなかった時の状態に戻ろうとする働きが起こります。
調律をしていなかった期間が長いと、1本の弦を引っ張る張力も低下していて
それを元の張力で引っ張る力が働くのですから、
ピアノ全体に大きな張力がかかります。
その為、修理する前には何ともなかったのに、
修理したら新しい不具合が発生することも起こります。
それを時間をかけて見つけ出していく作業がシーズニングになります。
アクションを本体に取り付けて、整調作業も完了しました。
外装のメンテナンスも終了し、やっと一連の作業が終わり、後はお戻しの手配となります。
それまでの間、お納めした後の安定が良くなるようしばらくこの場所でシーズニングをします。
ピアノは温度変化、湿度変化、経年劣化、部品の摩耗、消耗等
幾つもの変化に対応する必要が有ります。
元々の材質や木材の含水率(木材の乾燥度合い)によっても、その後の変化に違いが起こります。
その変化に適応できるよう、いろいろな作業を施していく事が
ピアノのメンテナンスの重要性と考えています。
後はお客様の元に戻って、良い音を奏でてもらえることを願っています。
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