MELLOTRON M400S Repair 2025.03.05

メロトロン M400S 修理 2025.03.05

この記事の事についてのお問い合わせは、
℡ 0120-045-845 
または bzq21747@gmail.comにメールで問い合わせてください。
ピアノ職人・VIRA JAPAN 
(有)ラッキーパイン

2025.03.07都内のお客様からのご依頼で、メロトロンM400Sを引き取って参りました。

お客様の話しですと、当初はモーターが回らなかったのですが、取りあえず、モーターは回り出して音は出るようになったそうです。ただ、動作の不具合が有ると言うことで修理のご依頼を頂きました。メロトロンはテープに録音した音源を再生する仕組みの、アナログのサンプリング機械と言った所でしょうか。なかなか手強い相手です。

2025.03.29本体の動作チェックを行いました。スイッチ類はつまみの隠しネジが緩んで外れてしまうので、ネジを締めておきました。なんとかモーターは回って、音は出ていますが、音楽的に使えるのかどうかは定かではありません。各所で不具合を起こしているようで、どこから手を付けて言ったら良いか悩みます。

まずモーターはかろうじて回っていますが、ピッチを最大まで回すと止まってしまいます。これはモーターが悪いのかスイッチの動作が悪いのか、分解して見てみないと分かりません。

また、チャンネル切り替えスイッチは固着して動作しません。かなり気合を入れて取り掛からないといけない作業になりそうです。

2025.04.15かなり間が空いてしまいましたが、気合を入れて本体のチェックを行いました。

この手の楽器は取り掛かるまで時間がかかります。

スイッチを入れて、モーターは問題なく回っていますが、一音音が出ません。一番高いCの音です。鍵盤を外すためにガイドバーを外すと、そこには丸い紙パンチングのような物が貼ってあります。多分鍵盤の高さを合わせる為に貼ってあるのでしょう。無くさないように位置をチェックしておきます。

その上でCの鍵盤を外して見ました。

するとテープは有るようです。そうなると一体何が原因なのでしょう?

本体裏側のカバーを外して中を覗いてみると、スプリングがぶら下がっていました。しかし、長さがやたらと短いです。

そこで、前面を覗いて、各音階のパーテーションの間から手を突っ込んでみると、テープに繋がっているスプリングが出て来ました。どうも、スプリングが切れてしまったようです。さて、どうしましょう?

2025.04.17とりあえずスプリングどうしを曲げてくっつけてみました。少々心もとないですが、テンションがかかっているので外れることは無いでしょうが、後でもう少し対策を講じたいと思います。これで全音から発音しました。

次にチャンネル切り替えスイッチの固着です。このパーツを外すためには鍵盤ブロックを外さなければならないので、鍵盤ブロックを外すことにしました。

鍵盤の各パーツは問題無いようです。

本体側も欠損部品も無く、問題は無いようです。

この茶色いパーツは、チャンネルを切り替えた時に、位置が合うように調整するための部品です。これも一度外します。

この状態で、スイッチが固着している原因を探ると、鍵盤に接するヘッド側のパーツは問題無く動作しますが、スイッチ側のパーツが固くなっていました。

スイッチ側のパーツを取り外して、洗浄した後、特殊なグリースを塗布します。

これで動作がスムーズになりました。

2025.04.24鍵盤ユニットを本体にセットして、音出しチェックをしましたが、どうも具合が良くありません。

マスキングテープが貼ってある鍵盤は、お客様から動作がおかしいと指摘されたものですが、それ以外でも動作がスムーズにいかない鍵盤が幾つも有ります。

そこで、改めて鍵盤の動きをチェックしてみた所、戻らない鍵盤がいくつかありました。

これは鍵盤のブッシングクロスの不具合ではないかと思い、戻らなかった鍵盤のブッシングクロスをキープライヤーで穴殺ししてみた所、原因はやはりブッシングクロスの膨らみでした。不具合の有る鍵盤を拾って調整しようとやり出しましたが、ブッシングクロスをガイドするフロントピンも問題有りそうでしたので、全ての鍵盤を外して調整作業を行う事にしました。

こう言う作業は部分的にやった時、後でやらなかったところから不具合が発生するリスクが有るので、やるとなったら全部やらないとなりません。

結局全ての鍵盤を外して、フロントピンもすべて磨きこむ事にしました。

やるからには、徹底してやらないと気が済まないので、クッションフェルトも外して、ピン1本1本をチェックしながら磨きこみをしました。

それ程サビが出ていなかったので、指で滑りをチェックしながら磨き込みをしました。

一部ピンの根元にサビが浮いているものがありましたので、こちらは研磨しておきました。

鍵盤を戻すときには、キートップの汚れ落としをして、キープライヤーで穴ころしをした後、黒鉛を塗っておきました。アコースティックピアノ程の動きは要求されませんが、アコースティックピアノの調整と同じレベルの調整をしておけば、問題は起こらないはずです。鍵盤を調整していくうちに、隣の鍵盤と干渉する鍵盤が有りました。よく見るとスプリングの板バネがちょっとはみ出していて、隣の鍵盤を擦っていましたので、こちらは調整しておきました。(NO16Key)

結局1日かけてすべての鍵盤とフロントピンの調整を終えました。全鍵盤スムーズに動くようになりました。

2025.04.25本体にセットして音出しをしました。音は出たというレベルで、全体的に安定が良くありません。モーターの電圧の問題なのか、鍵盤の圧の問題なのかをチェックしながらしばらく電源をONにしておきます。

2025.05.03前回より何回か電源のON-OFFを繰り返して、動作確認をして来ましたが、やはり電源を入れて直ぐはモーターの回転が定まりません。今日も電源をONにしてから、モーターが安定するまで、5分位かかりました。どうも電源回路内の劣化が原因のようです。

2025.05.12これまで何日か電源のON-OFFと鍵盤の調整を繰り返し行って、以前よりは少し安定してきたようです。

切れていたスプリングは念の為タイラップを緩くかけて、スプリングが外れないようにしておきました。

これで補修したスプリングが外れて音が出なくなることも無いでしょう。

2025.05.14お客様のお宅にお戻ししました。納品完了した日の夜にお客様より、白鍵の下から13番目の音が出なくなったとメールで連絡が入りました。

2025.05.15取り合えず背面の板を外して、中を確認してもらい、画像を送ってもらったところ、テープが戻って来ていません。後日お伺いする事にしました。

上部へスクロール