ローズ ピアノ マークⅠ 88鍵 ステージ モデル 修理 2025.03.03
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ピアノ職人・VIRA JAPAN
(有)ラッキーパイン

2025.03.03先日Rhoudes Pianoを試弾にお越しくださったお客様が、当初73Keyをお求め下さったのですが、その後やはり88Keyの方に変更したいと言うことで、当社在庫のMark1を引っ張り出して来ました。

本体を分解する前の写真を撮り忘れてしまいましたが、これからメンテナンス作業を行って参ります。

2025.03.04ずっと倉庫の奥にしまい込んでいたので、外装もかなり汚れており、金具もサビが出ていたので、今日は本体ケースのクリーニングと金具の交換、サビ落とし作業を行いました。

本体を分解したついでに、ダンパーロッドのクッションフェルトがへたっていたので、再度貼り付けした上で、スペーサーを取り付けておきました。どうしても長年使っていると、フェルト部品は摩耗したりへたったりして、動きにムラや遊びが出るので、前もって調整をしておきました。

外装のトーレックスは汚れてはいましたが、破れも少なく、クリーニングしたらかなり綺麗になりました。金具も新しい物に交換したので、見栄えも随分と良くなりました。

背面のエンブレムはプラスチック製で、ひっかけて割れやすいので、ガードの為に段ボールを養生テープで貼り付けておきました。

トーレックスの剥がれがあったので、こちらは接着しておきました。

今日一日こちらの作業にかかり切りになりましたが、割と早くメンテナンスを進める事が出来そうです。

2025.03.06白鍵の黄ばみが気になったので、最低音の鍵盤をペーパーで水研ぎしました。#400,#600,#800,#1000で研ぐと一つ5分程かかります。一つやれば、全部やる事になると思いながらやったら、案の定全部やる事になりました。午前中で出来たのは、全体の半分ほど。今日中に鍵盤バフまでやれれば良いのですが・・・

おまけに鍵盤バフをかける為に鍵盤を持ったところ、その中で幾つかの鍵盤ブロックが接着不良を起こしており、パリンと取れてしまいました。

古いピアノのアクション部品が接着不良を起こして取れてしまう事は良く有りますが、Rhoudes Pianoの鍵盤ブロックが取れるのは初めてです。多分ハンマーが上に乗っかっているので、剥がれる事が無いのでしょう。ここまでの作業をすることが少ないので、気付いていないのかもしれません。とにかく接着不良を起こしているかどうか、鍵盤ブロックに圧をかけて、弱い所は全て再接着しました。接着した鍵盤は後でわかる様にマスキングテープを貼っておきました。何とか今日一日かけて、鍵盤の調整を終える事が出来ました。

2025.03.07結局、鍵盤ブロックの接着剥がれは、殆どの鍵盤で起こっていました。その為再度接着を行いましたが、その中で幾つかしっかり接着されている鍵盤も有りました。よく見ると、それは以前接着した形跡がありました。

鍵盤を乾かす間、バランスピンとフロントピンの磨き作業を行いました。サビはそれ程出ていませんでしたが、一つ一つ指で感触をつかみながら磨き込みをしました。この作業は地味な作業ですが、鍵盤動作に大きく影響しますので、しっかりとやっておきます。

その後、昨日接着した鍵盤をセットして、鍵盤抵抗を見ました。来週はいよいよ鍵盤調整とハープを取り付けてのボイシング調整を行って行きます。

2025.03.10鍵盤の穴コロシをしながら、全ての鍵盤をセットしました。

作業中、2つの鍵盤の鍵盤座板の接着不良があったので、こちらも接着しておきました。

古い楽器は接着不良が良く起こりますので、一つ一つのパーツを確認しながらの作業となりました。

その後、ダンパーパネルを取り付けました。ダンパーパネルを取り付けるロッドがかなりサビていたので、ペーパーでサビ落としをした後、バフ掛けをしてグリースを塗布しておきました。

鍵盤の高さを見てみると、バラつきがありましたので、鍵盤整調も行う事にしました。

アコースティックピアノでは、この鍵盤ならしと言う作業は良く行いますが、これまで見て来たRhodes Pianoは殆ど行われていませんでした。やはり手間と時間がかかる作業なので、あまり行われないのかも知れません。取りあえず、今日の作業はならしの途中で時間切れとなりました。

2025.03.11今日は東日本大震災の日です。あの日、予定通りだったら、私は福島県南相馬市から6号線を通って福島県いわき市へ行く事になっていましたが、予定がキャンセルになった為に、1日早く帰社して難を逃れました。不思議なめぐり合わせで、今、こうやって仕事をさせて頂いている事に感謝です。と言うことで、今日は鍵盤ならしの続きを行いました。

白鍵を終えて、黒鍵もならし作業を行い、鍵盤関連のメンテナンス作業を終えて、いよいよハープを乗せて音出しチェックに入ります。

ピックアップの断線が2つ有りましたが、後は問題無く発音しています。ただし、調整不良が沢山あるので、しっかりと調整をして行きたいと思います。

断線していたピックアップ2個を交換して、全てのKEYでの発音を確認しました。

これから、いよいよ最終調整として、ハープ調整とボイシング調整、調律と行って行きます。

2025.03.12午前中いっぱいかけて、調律とハープ調整、ボイシング調整を行い、音程、音量や音質のバラつき、各KEYの鳴りの均一化を調整しました。一部トーンジェネレーターの交換やハンマーチップの位置変更を行い、全体のバランスを整えました。

午後からは全体の微調整と、拾いの作業を行いました。またペダルを取り付けての動作確認も行い、問題の無い事を確認しました。

最後にフタの金具の交換とクリーニング、トーレックスの破れ補修を行いました。このフタは別のモデルのフタなので、ヒンジやラッチの位置が合うかどうか、取り付けて調整します。これで一応全ての作業が完了となります。明日一日エージングで状態の変化が起きないか様子をみます。

フタを取り付けてみた所、やはりヒンジとラッチの位置がズレていましたので、元のビス穴は埋木をして、再度位置出しをして取り付けました。

また、これまでの作業はLGの上で行っていましたので、脚を取り付けてチェックを行いました。

全て問題無い事を確認して、全ての作業が完了しました。
2025.03.17山梨県よりお客様がみえて、試弾して頂きました。低音部のタッチと発音がやや重い状況でしたので、調整しての出荷となりました。有難うございました。