Rhodes Piano MarkⅡSuitcase Maintenance 2024.11.08

ローズピアノマーク2スーツケースモデル修理 2024.11.08

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ピアノ職人・VIRA JAPAN 
(有)ラッキーパイン

2024.11.07横浜市のお客様より、修理のご依頼を頂き、MarkⅡスーツケースを引き取って来ました。

現場で動作確認を行った時には、ピックアップ飛びが数個の他に、トレモロ時に片チャンネルの音が出ていませんでした。この片チャンネル音が出ない不具合を見つけるのはなかなか厄介です。プリアンプから探って行って、ケーブル類の接触不良やハンダ剥がれ、断線、スピーカー飛びなど、回路全体を見て行く必要が有ります。

ピックアップを一つ一つチェックしてみた所、8個のピックアップが飛んでいました。こちらは要交換です。

また、鍵盤を弾いてみると、発音ポイントがバラバラで、KEYによって音量や音色にバラつきが有りましたので、こちらは要修理となります。

鍵盤をはずして内部を見ると、ホコリが溜まっています。これくらいのホコリはどのモデルでも有りますが、鍵盤の動作ポイントとなるバランスピンに汚れやサビが付着していて、指で触ると結構なべとつきが有ります。こちらも出来れば、一度磨き込みをしておいた方が良いようです。

2024.11.17先ずは断線しているピックアップの交換から作業を開始しました。オレンジ色の渦巻き状のフェルトは雑音止めの為と思われますので、位置を記憶しておきます。

一つのピックアップを取り外すのに、左右の2個合わせて3個のトーンジェネレーターを取り外します。

その後、ピックアップの配線を切り離して、ピックアップを取り外します。

2024.11.20断線したピックアップは全て巻き直します。抵抗値の不均衡と再断線が起こらない様に手作業で行います。古いモデルから使用可能なピックアップを移植すれば早いのですが、それでは又いつ断線するか分からないので、断線しないような巻き方で巻き直しします。

2024.11.21断線したピックアップ8個を巻くのに、結局丸一日かかりました。

今日は本体への取り付けを行います。

交換したピックアップには、黄色いマスキングテープを貼っておきました。

2024.11.22トーンジェネレーターを取り付けて、動作状況を確認します。

取りあえず全てを取り付けて発音するかどうかをチェックします。

ハープ調整とボイシング調整は必要ですが、とりあえず全ての鍵盤での発音を確認しました。

本来はオーダーに入ってはいないのですが、鍵盤があまりにも汚れているので、鍵盤バフで研磨する事にしました。

タバコの匂いも付いているので、少しでも状態が良くなればと思い、作業する事にしました。

汚れが落ちて綺麗になると、気分も違って来ます。

2024.11.24時間が取れたので、プリアンプを外して、内部のチェックを行いました。配線の一部に接触不良があったのと、ボリュームにガリが発生していました。

各ボリュームポッドは洗浄後、Caigを塗布して一日置いておきます。

2024.11.25今日はプリアンプ関連の修理、メンテナンスを行いました。特に接触不良を起こしやすい部分は全てチェックしてメンテナンスを行いました。

また、基板の中でもハンダ剥がれを起こしやすい部分は、接触不良やハンダ剥がれを予防する意味で再ハンダしました。

各コネクター部の接点は、グラスファイバーヤスリで磨き込んだ後、洗浄と接点復活剤の塗布と拭き取りを行いました。

高音部のオレンジ色のフェルトが挟まっていたトーンジェネレーターの一つを外して、グロメットを新品に交換してみましたが、取り付けても変化は有りませんでした。何故、トーンジェネレーターにフェルトが挟まれていたのかと言えば、何らかの雑音が発生していたと考えられますが、特に変化が無かったので、この状態で様子を見ます。

2024.12.04鍵盤とハープ調整を終えて、アンプのメンテナンス作業に移りました。

アンプは、各接点の調整とコネクター部の調整、各コードの接触不良や断線の確認を行いました。

一点、電源基盤のコードが一本外れていましたので、取り付けておきました。こちらには配線に番号がふってあるので、以前どちらかで修理をしたものと思われます。

2024.12.05元々のピッチはA=442でしたが、お客様よりA=440のピッチ変更のご依頼がありましたので、下調律を行いました。通常A=440ですが、こちらのモデルはピッチを高めに設定した為か、タインの長さがやや短くなっており、440Hzに下げると、一部調律時にスプリングがギリギリにセットしなくてはならない状況でした。

2024.12.18先週1週間程発熱で休んでしまい、その間作業が中断していましたが、順次再開しました。そこでこちらのRhodes Pianoも再度調律を行おうと、ピッチを計ってみると、12月5日時点ではA=440Hzピッタリだったのがやや下がっています。タインスプリングにテンションが残っていたのか、他に原因があるのかは分かりませんが、再度調律を行います。

調律の安定が悪いので、先にハープ調整とボイシング調整を行います。年内にはお戻し出来るよう、頑張りましょう。

2024.12.21本日調律を行いました。442Hzから440Hzへのピッチ変更でしたので、少々時間がかかりましたが、何とか完了しました。ただし、今回はピッチ変更もあってか、安定が悪いので出荷前に再度チェックします。

調律を完了して、全体の動作状況を確認した所、プリアンプのインセンシティのボリュームにガリが出ていましたので、再度Caigを塗布しておきました。

また、アンプ周りのパーツも無水エタノールで洗浄しておきました。

この時トランジスターカバーのビスが欠損しているのを発見したので、取り付けておきました。

これで、オーダー頂いた作業は全て完了しましたが、納品までの期間暫くエイジングをかけて様子を見ます。

2024.12.25無事にお客様の元へお戻し出来ました。有難うございました。

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