Rhodes Piano Mark Ⅰ 73Key StageModel Maintenance 2024.08.24

ローズピアノ マークⅠ 73KEY ステージモデル 修理 2024.08.24

この記事の事についてのお問い合わせは、
℡ 0120-045-845 
または bzq21747@gmail.comにメールで問い合わせてください。
ピアノ職人・VIRA JAPAN 
(有)ラッキーパイン

2024.08.19埼玉県のお客様よりRhodes Piano Mark1Stage Modelの修理依頼を頂き、引き取って来ました。

先ずはざっと見、鍵盤の中央部が下がっています。これは良くある事で、全体の鍵盤の高さを合わせる事から修理が始まりますと言っても過言では有りません。

また、ピックアップは40G4と44B4の2個が飛んでいました。こちらは要交換です。

中をザっと見渡すとハンマーチップの減りが有ったり、ダンパーがしっかりとかかっていなかったり、やらなければならない修理、やった方が良い修理、いろいろと検討してみます。

鍵盤も全て外して、内部の状態を見る必要が有ります。

2024.08.28メンテナンス作業の下準備の為、本体をバラシてみました。

プリアンプをはずして、ハープの固定用ビスも取って、解体作業です。

最初の難題は鍵盤外しでした。サビて鍵盤が固着して取れません。力ずくでやると、鍵盤を折ってしまう危険性があるので、一つ一つ時間をかけて外して行きました。

途中黒いものが飛んだので、何かと思いよく見るとゴキブリの死骸でした。時たま有る事です。

低音部を中心に鍵盤のバランスピンのサビが進行しており、このままの状態で使用していたら、やがて鍵盤が動かなくなっていたと思われます。これは通常作業よりも時間と労力がかかりそうです。

高音部の方には、ゴキブリのフンらしきものが散らばっていました。全てお掃除して綺麗にします。鍵盤をあげて見ないと分からないことです。

蓋も金属パーツを全て外して、クリーニングします。もちろん外した金属パーツもサビ落としとバフ研磨を行います。

アクションパーツやハープも全部外して、ケースもクリーニングして行きます。

せっかくなのでトーレックスの破れや接着剥がれも補修しておきます。

2024.08.30台風10号がノロノロ台風で、なかなかやって来ません。でも外は大雨です。だからと言う訳では有りませんが、メンテナンス作業は着々と進んでいます。

外装のトーレックスの汚れ落としと接着剥がれの補修も進めています。

2024.08.31金属パーツはサンドラバーでサビ落としの下処理をしてから、バフ研磨しますが、この作業が中々大変なのです。

いわゆる世間で言う3K のうちの「きつい、汚い」がピッタリする作業ですので、なかなか他人にやらせることが憚られます。新品に交換した方が早くて楽な事は分かっているのですが、どうしてもバランスが崩れてしまって、何か着慣れない服を着ているように思えて仕方がありません。

私の変なこだわりなのかも知れませんが、音楽はハーモニーが大事と思うので、一部分だけ新しくなって全体のバランスが崩れてしまうのが好きくないのです。何時まで続けられるか分かりませんが、出来るうちはやって行きたいと思います。

2024.09.01今日は鍵盤のバフ研磨を行いました。下処理に時間がかかってしまいましたが、下処理は写真を撮り忘れてしまいました。

全ての鍵盤を仕上げるのに、丸一日かかりました。

2024.09.02今日は本体の金具の取り付けと、バランスピンのサビ落とし、磨き込みを行いました。

幾つかの鍵盤が固着して取れなかったのですが、その部分のサビは尋常では有りませんでした。

バランスピンの根元はパンチングで隠れるので問題は無いですが、ピンのパンチングよりすぐ上の部分は、鍵盤のバランスピンホールに接する部分ですので、ここにサビがあると、最悪の場合鍵盤が動かなくなります。なるべく綺麗にサビを落としておきます。

サビ落としの後は、順番に番手を上げて研磨し、最後に高番手のスチールウールで仕上げます。その上でPROTEKを塗布しておきます。

全てのピンが錆びている訳ではないので、何かこの部分にかかったのではないかと考えられます。いずれにしてもこの状態は良くないので、シコシコとサビをおとして仕上げて行きます。

ここまでのサビの発生は珍しいですね。

高音部のピンサビ落としをしていたら、何か変なものを発見。

ハープの裏にくっついている黒い豆の様な物、ゴキブリの卵のようです。2つくっついていました。

両方とも綺麗に取りました。

2024.09.03今日はフロントピンのサビ落としと磨き込みです。こちらもかなりサビが発生していました。

サビを落として、さび止めと潤滑剤を塗布しておくと、これからの鍵盤の動きに雲泥の差が出て来ます。

目立た無い地道な作業ですが、この作業は大変大切な作業です。

ピンの磨き込みが終了したので、鍵盤をセットしてみました。すると黒鍵の一つが戻って来ません。

NO26のA#2です。

まわりの鍵盤を外して、再度バランスピン磨きを行いました。ここはサビの発生が激しかった所です。

バランスピンの方は一通りサビ落としを行いましたが、まだ鍵盤の動きが重くて鈍いので、バランスホールに黒鉛を塗布して鍵盤の調整を行いました。

また、ブッシングクロスがよれている可能性も有るので、キープライヤーで調整しました。

フロントピンホールも同様に調整します。

無事に問題無く動くようになりました。

これでやっと鍵盤整調作業に入れます。

2024.09.05鍵盤整調に入りました。先ずは白鍵のならし作業です。

続いて黒鍵のならし作業を行います。

その後断線していたピックアップの交換作業に移ります。作業効率を上げる為、トーンジェネレーターは切れたピックアップの左右含めて、3本外します。

ピックアップ巻き直した在庫が有りましたので、それに交換しました。

その後トーンジェネレーターの高さ位置合わせをします。

交換の為外したトーンジェネレーターの音色調整も行います。

いよいよ音出しして、全体のバランスを見ます。とりあえず今日の作業はここまでとなります。

2024.09.06ハープ調整とボイシング調整後、ペダルを取り付けてダンパー調整を行いました。

全体の音色と音量のバランスを調整しました。タッチ感も向上して弾きやすくなりました。これで全ての作業は完了ですが、後はお納め後に、お客様宅でお使いのPAシステムに合わせて、再度ボイシングの微調整を行います。

カバーもして、全ての作業を終えて、後はお客様宅への納品を待つのみとなります。2024.09.11無事にお客様の元にお戻し出来ました。

2024.09.18その後、お客様から鍵盤が一つ戻らないと連絡を頂きました。画像を送って貰ったらハンマーチップが欠けて、タインに引っ掛かっていました。こちらは出張して、ゴムチップを交換しました。

2024.12.25お客様より、鍵盤が幾つか戻らなくなったと連絡を頂きました。

2024.12.29出張して拝見してみると、白鍵が数個戻って来ません。原因を調べてみると、バランスブッシングが膨らんだようでしたので、全鍵盤の穴コロシを行いました。その他にもバランスピンの鍵盤座板が幾つか接着不良を起こしていましたので、こちらは接着しておきました。暫く使っていなかった楽器を修理して、環境の違う場所に設置すると、色々と不具合が出て来る事が有ります。今回もその類の不具合だったと思われますが、無事にメンテナンス作業を完了して、動作トラブルは解消しました。

上部へスクロール