ローズピアノマーク1 スツケースモデル ノイズ修理 静岡県より 2024.10.12
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2024.10.12静岡県から、お客様がRhodes PianoMark1 Suitcase modelをお持込み下さいました。取りあえずセッティングして、音出しをしてみました。内部はとても綺麗で状態はすこぶる良いです。
しかし音出しをしてみると、音が割れてノイズ混じりとなっています。トレモロも片チャンネルが出ない状態です。さてさて、どんな修理になるか、時間が取れた所で細かいチェックをして参ります。

3時間程通電してから、再度動作確認を行いました。どうもこの5ピンケーブルが怪しいので、別のケーブルを使ってチェックしてみました。
すると、先ほどはトレモロをONにすると片チャンネルは出なかったのですが、ここでは出ています。しかしどちらか一方の音が歪んでいます。
当初の状態からすると、原因の一つは5ピンケーブルに有りました。こちらは要交換です。ただ、まだ正常な発音になっていませんので、原因追及が続きそうです。
2024.10.15動作環境を確認する為、5ピンケーブルを変えて音出しチェックを行いました。すると今度はノイズが出っ放しとなります。その時の状況によって症状が変わる。これは調整に時間と労力がかかりそうです。
2024.12.23他の修理が立て込んでいた為、暫く間が空いてしまいましたが、今日再度動作状況を確認しました。先ず、別のアンプにつないで発音状況を確認した所、特に歪みも無く問題有りませんでした。という事はプリアンプは正常に動作していると言う事になります。
続いて、本体のアンプに繋いで音出しした所、片チャンネルにノイズが乗っています。という事はアンプ側の5ピンアダプターからスピーカーまでの間の何らかの不良と言う事になります。

因みにヘッドフォーンで音を確認すると、問題無く発音しています。

そこで、スピーカーケーブルを片方ずつ抜き差ししてチェックしてみると、どうも片方のスピーカーがビリついてノイズが乗っているようです。そうするとスピーカーのへたりが原因の可能性が有ります。今後、スピーカーを外して、動作チェックを行って行きます。

高音部側のスピーカーからの音が割れていたので、当社在庫のRhodes Pianoのスピーカーを外して交換してみました。するとノイズは消えたのですが、今度はトレモロが効かなくなりました。

スピーカーの動作確認もしましたが、トレモロが効かない原因がつかみません。これは迷路に入り込んだ感じで、時間がかかりそうです。

2025.02.06時間が空きましたが、改めて気合を入れ直してプリアンプのメンテナンスと動作確認を行いました。

ボリュームもスライダーもかなりガリとバリが出ていました。

Caigの原液とスプレーを何回かに分けて塗布して、接点調整を行いました。
ガリは解消されましたが、まだノイズが乗っています。各パーツをチェックして行くと、ビブラートのON‐OFFスイッチに接触不良が有りました。こちらはパーツ交換をしたいのですが、このスイッチ部品が在庫なしとなっていました。さあ、どうしましょう。

2025.02.10ビブラートスイッチのパーツが手に入らないと言う状況でしたので、スイッチの洗浄を行って見ました。接触不良の場合、接点の洗浄で回復する事が有りますので、試してみました。
すると、何とかスイッチの接触不良は改善されました。しかし、まだ低音部の音割れが有ります。これはやはりスピーカーが原因しているのかも知れません。

2025.03.03プリアンプ、ケーブル、アンプ、スピーカーと追って行きましたが、どうも複合的にトラブルが発生しているようです。スピーカーもビリ付きが発生してるので、他のスピーカーに繋いでみると、ノイズが乗ったり、乗らなかったり、なかなか手強いです。とにかくトラブル発生源を一つ一つ潰していくしか無いようです。

プリアンプを部品取り在庫の物に繋いで見ると、やはり片チャンネルにノイズが乗ります。そうすると、やはりアンプの基盤関係が怪しくなってきます。さてさて、どうしましょうか?
2025.03.26これまで5ピンケーブルの交換、ビブラートスイッチの調整、スピーカーの交換、アンプの接点調整、スピーカーケーブル端子の洗浄等々行って来ましたが、根本的な原因解決になっていません。その為、当社在庫のアンプ、スピーカーユニットに交換してみました。すると、やっとノイズの無い発音が出来ました。今回はユニットごとの交換とさせていただきます。

2025.03.27結局アンプとスピーカー両方に不具合が有ったようです。当社在庫品の中で程度の良いアンプ、スピーカーユニットに交換したら、問題無く発音しました。これでやっと全体のメンテナンス作業に移れます。

内部をチェックして行くと、こちらも中々手強いようで、色々な所に不具合が出ています。先ず、ダンパーの掛かり具合が不揃いなのでダンパーパネルを外そうとしたら、ダンパーの取り付けロッドが錆びて動きません。何とか時間をかけて取り外しましたが、サビが進行していました。

こちらはサビ落としをしておきました。

これだけ傷んでいると、内部も心配なのでアクションを外して中を見てみました。こちらはそれ程ひどい状態にはなっていませんでした。とにかく、何が起こるか分からないですので、一つ一つのパーツをチェックして行きます。

ケース内と外装のトーレックスをクリーニングして、再度アクションを取り付けました。アクション取り付けのボルトもサビて、おまけに曲がっていましたので、補正して取り付けました。

つづいて、フロントピン、バランスピンの磨き作業を行いました。地味で見えない作業ですが、何年か後に違いが出て来ます。

鍵盤はお掃除をした後に、キープライヤーを使って穴コロシをしておきます。将来問題無く使える様にするために、目立たない作業ですが、一つ一つしっかりとやっておきます。

黒鍵の一つで、キーブロックフェルトが剥がれていたので、こちらは接着しておきました。鍵盤をセットして音出ししたら、問題無く発音してくれました。やっとここまで来たと言った感があります。
2025.03.28鍵盤ならしのご用命も頂きましたので、作業を行いました。やはり中音部は全体的に鍵盤高が下がっておりましたが、こちらのモデルは低音部がかなり持ち上がっていましたので、低音部を下げて調整する事にしました。

続いて黒鍵のならしも行います。他の作業も有り、今日はこの作業で終了と思っていましたが、結局調律をはじめ、残りの作業全てを終えました。

とても時間がかかってしまいましたが、何とかゴールにたどり着けたようです。ただし、アンプとスピーカーに加えて、プリアンプもだいぶ傷んでいたようですので、これから何が起こるか分からない怖さが有ります。暫くエイジングで様子を見て、お戻し致しますが、お戻し後も問題無く動作する事を祈っています。

2025.04.09出荷前の動作確認の為、数時間音出しをしてみた所、時々パチパチとノイズが乗る事がありますた。ちょっと気になったので、再度アンプの動作をチェックした所、基板のコネクター部のハンダ不良が有りました。そこで、元のアンプも一緒にチェックした所、同じ様に基板のコネクター部のハンダ不良が有ることが判明しました。

その為、急遽基板の再ハンダ付けを行い、元のアンプに戻してみた所、ノイズも無く動作してくれました。原因が突き止められた事で、安心してお戻し出来ます。

2024.04.22当初お客様が引取に見える予定でしたが、急遽当社にて納品にお伺いする事になりました。そのため最後の動作確認と本体にフタをして、納品の準備を行いました。

2024.04.24静岡県のお客様宅まで、Rhodes Pianoの納品でお伺いしました。とてもお洒落なお宅です。

お家の中ではJAZZが流れていて、アコースティックピアノやシンセ等の楽器類も沢山有る、羨ましいお宅でした。
有難うございました。 おしまい。