ローズピアノ マークⅡステージモデル 修理 横浜市より 2025.04.09
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ピアノ職人・VIRA JAPAN
(有)ラッキーパイン

2025.03.22横浜市内のお客様からCP80の移動のご依頼を頂き、その引き取り先のお客様から今回のMarkⅡの修理のご依頼を頂きました。

動作状況を調べるためにセッティングしてみました。カバーの裏側にはノイズ対策のために、お客様が取り付けたと思われるアルミシートが付いていました。ただ、アースに落とすコードが浮いていて、これではノイズ対策にはなりません。

本体は汚れが付着していて、一度クリーニングをしたほうがよさそうです。

フロントパネルには何かこぼしたような跡がありました。

本体裏側のトーレックスにも、フロントパネルに付着していた物と同じ様な汚れが残っています。

全体的に汚れが付着しています。
動作の方を確認すると、接触不良がありましたが、何とか音出しまでは出来ました。ピックアップの断線が6個有りました。

MarkⅡはピックアップが飛びやすいのですが、6個ならば少ない方です。

2025.04.25先ずはピックアップ交換から始めました。6個巻き直す為に取り外しました。これから徐々に作業を進めて行きます。

2025.04.27午前中は予定が入っていたので、午後からピックアップの巻き直しと本体への取り付けを行いました。ピックアップは巻き直すのに1個20分位かかってしまいます。何か方法を考えないといけません。

ピックアップを本体に取り付けて、ワイヤーをハンダ付けしていきます。

交換したピックアップには、後で確認出来るようにマスキングテープで印をつけておきました。
これで全ての鍵盤から音が出るようになりました。

これでメンテナンス作業の準備完了です。これで本体の作業にとりかかれます。
2025.04.28RCA端子からケーブルを外そうとしたら、端子の取り付け部分がぐらついていました。このRCA端子は接触不良やノイズの発生源になりますので、修理しておきます。

ビスを増し締めしても、トルクが出なかったので埋め木をしてから、下穴を開けて取り付けることにしました。

しっかりとトルクも出て、グラつきは解消されました。

次にパネルのクリーニングを行いました。

「STAGE PIANO」のロゴ付きパネルも取り外して全体のクリーニングとハンダ部分の接触チェックを行い、再度取り付けしました。

鍵盤を外して棚板を見てみると、かなりのホコリと汚れが付着していました。

ちょっと心配だったのは、何か液体をこぼしたのではないかと思われる跡があったのですが、特に問題は無かったようです。

その後、鍵盤を一つ一つ手作業で汚れを落として行きました。この作業は汚れ落としと一緒に、この楽器はどの位の使用頻度が有ったのか、また使用されずに保管されていたのか等の楽器の状態を感じ取るのに一番うってつけの作業です。

こちらの鍵盤はプラ鍵でしたので、木製鍵盤程状態をつかみ取ることは難しいですが、それでも鍵盤の傷や割れ、摩耗などを知るには大変重要な作業です。

鍵盤の調整が終わったら、本体をバラシて中の状態を見ます。

特に気になっていた背面の汚れは、液体が内部に入り込んでいるのではないかと心配でしたが、特に中に何かが入り込んだ跡はなかったので、一安心しました。

お掃除をする中で、紙を丸めた物が二つ出て来ました。これは何かスペーサーとして使った物なのかと思います。何かのために使っていたとすると、本体を組み上げた時に何かの不具合が有るかも知れませんので、ちょっと気に留めておくことにします。

全体のクリーニングとパーツチェック、ボリュームポッドのCaig塗布によるガリ対策等を行い、パーツを組み付けて行きました。

音出しチェックをして、全ての鍵盤から音が出ることを確認し、ハープ調整で音色と音量のバランスを取りました。

2025.04.30今日一日かけて、調律とハープ調整、ボイシング調整を行い、ほぼすべての作業が完了しました。

今日の作業はここまでにして、この後しばらくエイジングで様子を見た後、脚とペダルを取り付けて、ダンパーの動作を確認します。
2025.05.01脚とペダルを取り付けて動作確認を行いました。すると、ペダルを踏むとキュッ、キュッとノイズが出ます。さてさて、発生源はどこでしょう。
再度ハープビスを外して、ダンパーパネルの取り付け部から確認していきました。ペダルを使わないでダンパーパネルを動かしてもノイズは出ません。するとノイズの発生源はペダルからペダルロッド、Sustain Dowelとダンパーパネルの接触部分当たりです。
ペダルロッドを動かしてみると、ノイズが出ました。また、ペダル本体もノイズが発生していました。
ペダルロッドと本体の取り付け部のプラスチックカバーが接触してノイズが出ていたのと、ペダルからもノイズが出ていましたので、両方のパーツを修理しました。
ペダルもノイズが消えました。これで問題なく使って頂けます。この後、全てのパーツを取り付けて最終音出しチェックを行い、問題ないことを確認しました。

本体を梱包して、脚やペダルは別梱包で納品に伺います。本体カバーに収納スペースは有りますが、入れてしまうと重量が重くなるので、別梱包にしておきました。
2025.05.07無事にオーナー様のもとにお届けしました。