ローズピアノマーク5修理 2024.11.30
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ピアノ職人・VIRA JAPAN
(有)ラッキーパイン
2024.12.10お預かりしたRhodes Piano MarkⅤの動作確認を行いました。お客様のお話しですと、ハープを外した時に裏返しにひっくり返してしまい、それから全く音が出なくなったとの事です。
先ずは発音しない原因を探る為に、ハープのRCA端子からアンプに直結して試してみました。するとちゃんと発音します。という事はピンコードの断線かプリアンプ関係の断線が原因と考えられます。その他、鍵盤を弾いてみましたが、音色の不揃いやタッチ感の違和感等、要調整の個所が多くあります。
2024.12.11先ずはコード類の断線の有無を調べてみました。
するとコード類に断線は有りません。はて、この配線のどこかに原因が有るのは確かですが、それでは音が出ない原因は一体何か?
当初は断線が原因だと思って調べて来ましたが、どうも断線が原因では無いようです。ちょっと迷路に入ってしまいました。
その後色々と調べて行ったら、ボリューム端子のターミナルが拉げて曲がっていて、アースにショートしている事が分かりました。取りあえず、端子を元の状態に戻して、発音するか確認してみました。
何とか音が出る状態になりました。そんなに複雑な回路では無いのですが、当初の情報から断線が原因と思い込んでいたので、ちょっと時間がかかってしまいました。修理に先入観や思い込みは禁物です。
午後からは、ハープの取り付け状況を確認しました。お客様からはハープがひっくり返って逆さまになったと言われていましたので、先ずはハープ両サイドガイドバーを取り付けました。
ハープの左右の位置出しに影響するワッシャーも取りあえず目分量で取り付けました。
一度ハープを取り付けて、位置出しする為にビスを留めようとすると、ビス穴が合いません。ガイドバーを取り付けたのに、何故ビス穴が合わないのか探って行くと、ガイドバーの本体側の位置がズレていました。
こちらはあまり外す事は無いですが、以前何らかの理由で外した事があると思われます。先ずは、ハープの位置出しをしてから、後で本体側のガイドバーの取り付けを行って、問題解決しました。
2024.12.18発熱で12月12日から16日まで5日間休んでしまいました。コロナでもインフルエンザでも無いと言う診断でしたが、39.5度の発熱は暫く経験した事のない高熱だったので、果たして何が原因だったのか?と言うことで、今日から仕事復帰しました。先ずは鍵盤を全て外して、内部の状態をチェックします。
NO66と67のキーに赤いフェルトが接着されていました。これはハンマーが戻る時に干渉してカン、カン、というノイズが出たのだと思います。このフェルトは一時的な対策ですので、後で全体をチェックしてみます。
高さ合わせの為のパンチングは、本来アコースティックピアノは紙パンチングの上に布パンチングをセットしているのですが、Rhodes Pianoの鍵盤の場合、100%紙パンチングが上側に来ています。鍵盤ならしと言いますが、確かに布パンチングを敷き詰めて、その後に紙パンチングで高さを合わせて行った方が楽です。
しかしメンテナンスする為に鍵盤を外す場合、紙パンチングが鍵盤にくっついて取れてしまいます。それを防ぐ為に布パンチングを上面にセットするのですが、Rhodes Pianoはこれまで100%紙パンチングが上に来ています。これをアメリカンと言うならそうかもしれませんが、しかしここはジャパニーズ的にやっておきます。
フロントのクッションフェルトが一部剥がれて曲がっていました。
こちらも接着して真っすぐにしておきました。
折角鍵盤を外したので、内部のお掃除とフロントピン、バランスピンのクリーニングをしておきました。
先程の赤いフェルトが貼って有った原因を探る為に、ハープを上げて鍵盤動作を確認しました。すると、幾つかの鍵盤でカチカチとノイズが発生します。
中を覗いて見ると、ハンマーの位置がバラバラです。これを元に戻すとなると、費用も掛かってくるので、この状態でカチカチ音が出ない様に処理してみます。
取りあえず、ノイズ発生の原因の鍵盤ブロックの角をヤスリで落としておきます。
これでノイズ発生は無くなりますので、ノイズの出る鍵盤は同じように鍵盤ブロックの角を落としておきました。
次にハンマーをチェックすると、何故かNO64から67のハンマーチップが右に寄せて取り付けてあります。
お客様から預かる時に指摘された、NO31の鍵盤のハンマーチップもズレて接着してありました。これは何らかの意図があっての事と思われます。
2024.12.24タインスプリングが欠損していたので、スプリングを取り付けました。
この状態で本体に取り付けて、調律をしましたが、正しいピッチまで音が下がりません。タインが短いのかもしれませんが、スプリングを上の番手の物と入れ替えて、何とか正しいピッチまで下げる事ができました。
鍵盤を弾くと、かなり音色と音量にバラつきが有り、調整不良の状態でしたので、先ずはトーンジェネレーターの位置決めから始めて、その後ハープ調整を行いました。
2024.12.25今日は朝から昼までハープ調整とボイシング調整を行いました。全体的に音量、音質共かなりのバラツキがありました。また、ピッチも当初A=440Hzと思っていましたが、A=441Hzでした。もう少し時間をかけて、調整を進めて行きます。
2024.12.26年の瀬も押し迫って来ましたが、今日も調律とハープ調整、ボイシング調整を行いました。かなり狂いとバラつきが大きくて、調整に時間がかかりましたが、午前中一杯かけてほぼスタンダードな状態に戻せたと思います。午後に調律の残りを行って、その後エイジングをかけて様子を見ます。
午後に調律とボイシング調整を行いました。これでオーダー頂いた調整作業は完了しました。Mark5の高音部のトーンジェネレーターはビス一本でとまっている為、中音部以下の様なボイシング調整が出来ません。
ちなみにmarkⅠ、markⅡの73Keyは全てのトーンジェネレーターがビス2本止めとなっているので、微妙なボイシング調整が出来ます。
ちょっと実験して見ましたが、ビス2本止めであれば、手前のビスの調整で音色か変わります。まあ、これはRhodes Pianoの製造過程での事なので、仕方ないですね。
カバーも取り付けて、ビリ付きやその他のトラブルが無い事を確認しました。この状態で1日置いて、明日再度チェックをします。
2024.12.27全体の動作確認をして、本体にペダルを取り付けて、ダンパーの動作確認も行い、問題無い事を確認しました。これで全ての作業が完了となります。
お戻しに向けて、本体は無事にお戻し出来るようにキルティングマットで梱包しました。
2024.12.29無事にお客様の元にお戻しする事が出来ました。有難うございました。