ローズピアノマーク1 スーツケース 修理2024.11.30
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ピアノ職人・VIRA JAPAN
(有)ラッキーパイン
2024.12.19以前当社でVintage Vibeの修理をご依頼頂いたお客様より、Rhodes Piano Mark1 Suitcaseの修理をご依頼頂きました。症状は全く音が出ないと言う事で、さてさて何から始めて行きましょうか。
先ずはアンプ関係の動作状況を調べてみました。ハープのRCA端子をホットタッチすると、アンプからノイズが出ましたので、アンプは生きています。それではプリアンプはどうかと思い、当社の別のRhodes Pianoに接続してみると、ちゃんと発音しました。
そうなると、ハープの断線かピックアップが多数飛んでいるかのどちらかになります。先ずはピックアップをショートカットして接続して音の状況をチェックしてみました。
すると、発音しました。そうなるとピックアップが多数飛んでいる可能性が高くなります。
ピックアップの状態をチェックして行くと、以前修理した所のワイヤーが外れていました。こちらは再度修理が必要になります。
取りあえずのチェックで、ピックアップが5個飛んでいました。5個位の飛びで音が出なくなると言うのはちょっと❓マークが付きますが、取りあえずはピックアップの交換から始めて行きます。
そこでお客様からお預かりした交換用のピックアップを調べてみると、5個の内2個は断線していて使えません。残り3個も抵抗値がやや低いですが、使えなくはなさそうです。
一緒にお預かりしたピックアップはターミナル欠損していました。
その他、全体の状態をチェックしました。特にRhodes Pianoの場合、鍵盤の上面高さの調整不良が多いので、こちらもチェックしておきました。
白鍵、黒鍵共に中音部が下に下がっています。弾けない事は無いですが、本来のタッチ感を求める場合には鍵盤整調は大事な作業です。
2024.12.23お客様からお預かりしたピックアップ3個に、当社で巻き直した2個を加えて、交換用のピックアップを準備しました。
ピックアップの交換には該当ピックアップとその両サイドのトーンジェネレーターを取り外します。
また、高音部の配線のハンダ不良の修理も合わせて行う為、準備しておきます。音が出ない事には次の作業に進めませんので、年内に音が出る状態までお戻し出来ればと思います。
2024.12.26当初断線していたピックアップ5個と、ワイヤーのハンダ不良の修理をして音出ししてみました。すると、無事に音が出るようになりました。
しかし、中音部から高音部にかけて、音が出ない鍵盤が幾つか有ります。やはりピックアップが5個飛んだ位で音が出なくなると言う事は考えにくかったので、最低でも10個以上は飛んでいると睨んでいましたが、やはりその通りでした。
ピックアップをチェックしてみると、プラス7個飛んでいました。合計12個になります。
いずれにせよ、ピックアップを新たに巻き直して、交換となるとちょっと時間がかかりそうです。
2025.01.08今日一日かけてピックアップを巻き直しました。明日以降ピックアップの交換を行います。
2025.01.09午前中いっぱいかけてピックアップの交換を行いました。交換後幾つかのトラブルが発生しましたが、それも無事に解決しました。
午後からは鍵盤整調を行いました。Rhodes Pianoはどれも50年以上経過していますから、どうしても鍵盤の中央部が下がって来ます。
この鍵盤の下がりや不揃いを調整するのが、鍵盤整調です。これがしっかり出来ていないと、タッチがスッキリしなかったり、ボイシング調整が上手く行かなかったりします。
白鍵を一通り終えて、この後黒鍵に移ります。この作業を終えて、初めてハープ調整とボイシング調整に進めます。
黒鍵の鍵盤整調も終えて、これからハープ調整とボイシング調整を行います。
ハープ調整とボイシング調整を完了して、ご依頼頂いたメンテナンス作業は完了しました。
タッチも発音もスムーズになりました。
折角なので鍵盤をはずして、内部のクリーニングとパンチングの入れ替えも行いました。Rhodes Pianoは、製造時に鍵盤整調する時に、紙パンチングを上に乗せて高さを合わせて、そのままとなっています。
本来パンチングは布パンチングが上面に来るのが本来の姿なので、全てのパンチングを入れ替えておきます。
ついでにバランスピン、フロントピンの滑りを良くする為にピン磨きもしておきました。これもタッチにかなり影響します。
最後の試弾をした時に、ダンパーペダルに遊びがあり、ペダルを踏んだ時にカチっと音が出ていたので、ダンパーロッドを少し上げて調整しておきました。
これで全ての作業が完了となります。
2025.01.13出荷前の動作確認を行っていたら、どうも違和感が有ります。一つは出力が小さい事で、ボリュームを一杯にしても音が小さい。また、チェックのため、あちこちいじっていたら、今度は音が出なくなりました。これではお戻し出来ませんので、原因の追究をして行きました。アンプなのかプリアンプなのか、ケーブル類なのか調べてみました。するとハープに接続してあるRCA端子の内部に接触不良が有る事が分かりました。さて、どの様に対処しましょうか?
2025.01.14別のプリアンプを使って、動作チェックしてみたところ、こちらも同じく音が出なくなります。ケーブルの接触不良ではなくRCA端子側の接触不良であるようです。このRCA端子は一般には販売されていないので、在庫品から取り外して使うか、USAに発注するかになります。
USAのサイトを確認しましたが、こちらのパーツはSOLD OUTでした。そこで当社在庫からパーツを外して取り付けてみました。しかし、全く同じ症状が出ます。テスターで通電チェックを行い、何が原因なのかを突き止めて行きます。
結局よくよく調べて行くと、RCA部品内のプラスチックパーツが破損して、その為にRCA端子のピンが内部で動いてしまい、ショートして音が出なくなることが判明しました。そこで、元のパーツのプラスチック部分を接着して試してみたところ、しっかりと音が出て、接触不良は無くなりました。
折角なので、ダンパーの遊びを無くす為に、ダンパーロッドにフェルトのスペーサーを貼って修理しておきました。ダンパーの遊びが無くなった分、止音不良を起こすKEYが有りましたので、こちらもハープ調整でメンテナンスをしておきました。これで、本当に全ての作業完了となります。
2025.01.20お客様の元にお戻し致しました。セッティングして電源を入れても音が出なかったので、再度各ポジションををチェックした所、アクセサリーのセンド側の端子の接触不良でした。現場で対応して解決しました。やはりVintage楽器は全体の動作チェックとメンテンナンス作業をしておかなければならないと感じた次第です。