ローズピアノ マーク1 ステージ 修理 2023.06.18
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ピアノ職人・VIRA JAPAN
(有)ラッキーパイン
2023.06.18川崎市のお客様が修理依頼のMark1 Stage Modelを持ち込まれました。
具体的な不具合としては、低音部の音が出にくいと言った内容でしたので、早速鍵盤とアクションの動作環境を確認しました。ピックアップコイルの断線は無いようですので、ハープの調整不良の様です。
また、鍵盤の黄ばみが取れるかとのご質問でしたので、鍵盤の調整作業も行って行く事にします。
鍵盤を外して棚板やピンの状態を観ましたが、バランスピン、フロントピン共汚れが付着している為か、指で触ると粘っこい感じがします。
また、バランスのパンチングも紙パンチングが上面に来ていて、布パンチングがその下に敷かれていました。多くのローズピアノがそうなのですが、紙パンチングが上面に有ると、鍵盤の下にくっついて取れてしまう事があるので、上面に布パンチングを置いて欲しいです。
Rhodes pianoの上にシンセサイザーやキーボードを置くためにハーフカバーが有りましたので、画像をアップします。こちらのハーフカバーは以前制作したもので、ヒンジの位置を変えて有ります。その為このままだとハーフカバー自体が不安定になるので、ヒンジを裏側の元の位置に付け替えて、本体に引っ掛かるようにしておいた方が安全です。ただヒンジを外した後に穴が残ってしまいます。
2023.07.01ハープ調整とボイシング調整から作業を開始しました。本体の状態に応じて調整内容を決めて行きますが、今回はピックアップやトーンジェネレーターには異常が見当たらなかったので、この順番で作業を進めて行きました。またボリュームにガリが出ていましたので接点復活剤 CAIG D5を塗布してガリ対策をしました。
続いて鍵盤関係の調整に移るためにビスを外してハープを開けようとしても、中々上がらない。やっとの事で上げたらハープのフレームの金属部がサビで融着していました。
少々のダメージはありましたが、何とか無事にハープを持ち上げられました。
ハープのフレーム部分はかなりサビが発生しておりましたので、こちらもサビ落としをしておきます。
鍵盤を全部外して、バランスピンの汚れ落としと磨き上げを行って行きます。
Rhodes pianoのバランスパンチングは殆ど紙パンチングが上面に来ています。これは製造時からのものなのかもしれません。
今回はバランスピン研磨も作業の中に含まれていましたので、布パンチングを上面にセットしました。
バランスピン研磨が終わったらフロントピンの研磨も行います。これで鍵盤の動きがスムーズになります。
2023.07.03 鍵盤の黄ばみ落としを始めました。取りあえず最高音一音を研磨処理までやってみました。これだけ色が変わります。
象牙鍵盤であれば漂白で白く出来るのですが、こちらの鍵盤は象牙ではないのでペーパーで下処理してからバフ研磨で処理して行きます。
作業はまずペーパーでの水研ぎから始めます。あまり粗いペーパーを使うとペーパーの擦り痕が残ってしまうので、#800、#1000、#1200、#1500と番手を上げて研ぎ出しします。1鍵1鍵手作業で行うため、午前中一杯かかりました。
この後暫く乾かして午後から、コンパウンドとバフ研磨で仕上げていきます。
結局鍵盤関係のメンテナンス作業で1日費やしました。以前であればこれから金属磨き等もこなしたのですが、さすがに体力的にもたないので、今日はこれで終了します。
明日に向けて、外装クリーニングの下準備として金属パーツを外すついでに、トーレックスの破れを補修しておきます。
Rhodes Pianoのコーナー金具は殆どサビサビの状態になっています。
新品に交換した方が手間もかからず早いのですが、何故かオリジナルパーツをサンドラバーでサビ落としをしてバフ研磨して仕上げています。何故かと問われても答えようが無いのですが、昔からこうやってます。
本体もクリーニングでトーレックスの汚れも落としました。ピカピカの金具を取り付けて行く時は何故か笑顔になります。
蓋のパーツも本体と同じように綺麗にしました。次はキーボードを乗せる為のハーフカバーの調整作業に入ります。
元々付いていたアルミ製のアングルは肉厚が少し薄い為か、カバー中央部が下がり気味に反りが出ていたので、肉厚のアルミアングルに交換する事にしました。ハーフカバーの上にシンセ等のキーボードを乗せる場合、その重量の為にに中央部にたわみが出て来ます。それを防ぐためにはしっかりしたアングルを取り付ける必要が有ります。手間はかかりますが、やはり長く使って頂くためには労を惜しまず、しっかしと作業をして行きたいと思います。
2023.07.11ハーフカバーのアングルの交換とヒンジのリプレイス作業を完了しました。本体に取り付けてみると、しっかりと取り付いいてたわみも有りません。アングルを止めるビスも3本から5本に増やして強度を保てるようにしました。
本体パーツとの干渉も無く、しっかりと取り付いています。元々Rhodes Pianoのカバーは重量を軽くする為に薄い木材を使っていますので、そのままでは上にキーボードを乗せる事は出来ません。そこでこのようなハーフカバーの改造を考えたのだと思います。
念のため脚のセットやペダルパーツを出して状態を確認しましたが、非常に程度の良い状態でした。
ペダル関係も欠損部品は無く、問題は有りません。
本体に取り付けて動作確認も行いましたが、きしみ音や動作不良も無く、非常に良いレベルです。
後は部分的に少々手直しをして作業完了となります。
2023.07.15お客様がお越しになり、無事にお渡しする事が出来ました。有難うございました。