Rhodes Piano Mark2 Stage Model Maintenance 2024.05.09

ローズピアノ MarkⅡステージモデル 修理 2024.05.09

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ピアノ職人・VIRA JAPAN 
(有)ラッキーパイン

2024.05.09お客様がMarkⅡStage Modelをお持込み下さいました。

ザっと見て見ると、戻らない鍵盤が幾つかあります。

しっかりチェックすると3つの鍵盤が戻りません。

原因が鍵盤なのかアクションなのか、それ以外の要因なのかは、鍵盤を取り外して見ると分かります。

初めにD2の鍵盤の状況を確認しました。すると隣の黒鍵と干渉しています。どうも鍵盤が反っているようです。

続いてB3の鍵盤もチェックしたところ、こちらも隣の鍵盤と干渉していました。

最後にE4の鍵盤も確認したところ、やはり隣の鍵盤との干渉でした。

鍵盤を外して中を覗いた所、長年のホコリが溜まっています。それとバランスピン、フロントピンに汚れが付着しているようで、指で触るとちょっとべた付いた感触です。鍵盤の動きが悪くなったり、重くなる原因の一つです。

また、鍵盤定規をあててみると、白鍵の高さがまちまちです。このままでも弾けない事は有りませんが、演奏時のタッチ感が悪くなるのとハンマーがトーンジェネレーターに当たるまでの距離がバラバラになるので音色に統一感が無くなります。

白鍵がバラバラであればもちろん黒鍵も同じくバラバラです。

2024.07.02暫く時間が空きましたが、やっと作業に取り掛かる事が出来ました。先ずは基本の基、お掃除から始めます。

後々の作業に影響する事があるので、お掃除の前に中の状況を確認しておきます。通常は鍵盤の隙間から入り込むほこりが堆積しますが、こちらはほこりとは違うようです。

土の様な物の他に枝の様な物も有ります。

手前部分も土の様な物が有ります。推測ですが、何か小動物が入り込んでいたのではないかと思います。

ただそれ程中を荒らしていた様子は見られませんでしたので、全部綺麗にしました。

ここで外した鍵盤をチェックすると、最低音のフロントブッシングが剥がれていました。

こちらはブッシングを接着して補修しておきます。

続いて、バランスピンとフロントピンの研磨とクリーニング行います。先ずは無水エタノールで洗浄してから、専用潤滑剤を塗布します。この時にバランスパンチングを外して、ピンの根元までクリーニングします。指で一本一本触りながら行う事で、ピンのサビやキズをチェックします。

また、これまのRhodes Pianoは全て布パンチングの上に紙パンチングが乗っています。これは製造段階で鍵盤のならしをする時に紙パンチングで高さ調整して、そのまま出荷していたのだと思われます。

これを本来の様に布パンチングを上に来るようにします。細かい事ですが、紙パンチングが上に来ていると、鍵盤を外す時に鍵盤にくっついて来てしまう事があるので、この作業をする時は必ず布パンチングを上にしておきます。

2024.07.03今日はハープ、アクション部を取り外して、ケース内のクリーニングを行いました。

中にはフォーンアダプターが落ちていました。

また、何故か線香も何本か落ちていました。全てを取り除いて、ケースも洗浄して綺麗にしました。

引き続き、鍵盤のならし作業を行います。

反りが出ている鍵盤が多く、難航しましたが白鍵のならし作業は何とか終えました。

ただ、戻って来ない鍵盤については、3つ有るうちの2つは何とか調整して解決出来そうですが、この鍵盤については鍵盤の反りが激しく、おまけに隣どうしの鍵盤がそれぞれ反ってしまっているので、調整だけでは解決出来そうに有りません。反りの解消の為に時間をかけて歪み補正を行ってみます。

2024.07.04一日かけて万力で鍵盤の反り補正を行いました。何とか元の状態に近い所まで戻ったようです。もう一日かけて、他の鍵盤の反りも補正してみます。

その間にピックアップ交換を行う為に、トーンジェネレーターを取り外します。

今回は2個のピックアップが飛んでいました。それぞれのピックアップを取り外します。

それぞれの断線したピックアップコイルは、すでに巻いておいたピックアップと交換します。

そしてそれぞれのトーンジェネレーターを取り付けて完了

2024.07.05鍵盤の反り補正を24時間かけて行いました。何とか隣の鍵盤との干渉も無くなりました。

こちらも24時間補正を行いました。ただ、木材は元の状態に戻ろうとする弾性力が働きますので、この状態で数日エイジングをかけて様子を見ます。

2024.07.09鍵盤の反り戻りの状態をチェックしました。やはり時間が経つと反りが戻って来ています。

こちらは見た目には分かりませんが、先端側が外に反っています。

特に反りがひどかったこちらの鍵盤は、鍵盤製造時に木を接いで接着していた部分から反りが出ているようです。このままではいずれ接着剥がれを起こして不具合が発生しそうです。

鍵盤の裏側を見たら、案の定接着剝がれを起こしていました。これが反りの原因だったようです。

取りあえず接着剤を流し込んで、プライマーで固めておきます。鍵盤裏から接着剤を注入したら、表側にもしみ出して来ました。これでもう暫くエイジングで様子を見ます。

2024.07.11鍵盤の再度の反り補正を行い、本体にセットしてみました。それぞれ隣の鍵盤と干渉していたのが解消されたようです。やはり1回ではダメでしたが、2回同じ補正作業を繰り返して元の状態に戻ったようです。これからもう暫くエイジングで様子を見ます。

2024.07.13本体にプリアンプを取り付ける時に、鍵盤との隙間が小さくなっていたので、左右の両拍子木上面にスペーサーを貼り付けました。これで鍵盤の動作が違って来ます。

その上で全体の音量バランス、音色調整を行いました。

ほぼ全体の作業が完了しました。後は調律を行って作業完了となります。

2024.07.16 元々のピッチでしたA=441Hzで調律を行いました。鍵盤も問題無く動作しています。調律と共にボイシング調整とハープ調整も行い、音色の並び、音量のバランスの微調整も行い、全ての作業を終了しました。

2024.07.18お客様が引き取りにお越しになり、無事にお渡しする事が出来ました。

2024.07.24納品後ピッチのズレとボリュームの調整にお伺いしました。その後、補正した鍵盤が又擦れ出したと言うことで、代わりの鍵盤を送って、反りが出た鍵盤をお預かりして、再度補正作業をおこないました。

2024.10.09再度の補正作業が終わりましたので、お客様にお送りする段取りを取りました。これで無事に動作する事を願います。

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