ローズピアノ マークⅡ 73鍵 スーツケース ビブラート故障 2023.07.11
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ピアノ職人・VIRA JAPAN
(有)ラッキーパイン
2023.07.11都内のスタジオからローズピアノスーツケースのビブラートが故障していると修理依頼が有り、早速引き取りに伺いました。他の修理が溜まっていたので、取りあえず症状を確認して修理の準備をしておきました。
こちらのスーツケースはUSA仕様で電圧が117Vのタイプですので、念の為ステップアップトランスを使って100Vを117V に昇圧して動作させました。
鍵盤を弾いて見ると確かに片チャンネルしか音が出ず、ビブラートも片チャンネルがなるだけでビブラートになりません。先ずスピーカーに繋がるヒューズをチェックした所、片側のヒューズ(写真奥側)が飛んで切れていました。何が原因なのか分からないので、取りあえずヒューズを交換して電源を入れると、問題無く動作しましたが、やはり片チャンネルは切れたままでトレモロが動作しません。
次にアンプの基板をチェックした所、コネクターの接触不良が有りました。
もう一方の基板も接触不良を起こしている様でした。
それも基板のコネクターと言うよりは、基板のハンダ剥がれの様でした。
2枚の基板のそれぞれ上下のコネクター部の再ハンダ処理をしておきました。
また、コネクターピンはグラスファイバーヤスリで研磨しました。
その後キムワイプで綺麗にしておきました。
次にヘッドフォーンでビブラートの状況を確認した所、ヘッドフォーンではちゃんとビブラートが左右に振れて出ています。
それではとプリアンプアウトにギターアンプを繋いで発音状況を確認した所、こちらもちゃんとビブラートが左右に振れて出ています。
どうも原因がつかめないまま、スピーカーが飛んでいるかどうかのチェックをしました。片方のスピーカーにアンプからの出力ケーブルを繋いで音が出るか確認します。
続いて別のじケーブルを同じスピーカーに繋いで音が出る事を確認しました。2本のケーブルどちらも音が出たのでアンプからの信号はちゃんと出ています。
次にもう片方のスピーカーにケーブルを差しても音が出ません。
別のケーブルに繋ぎ変えてもやはり音が出ません。と言う事はこちらのスピーカーケーブルからスピーカーまでが音が出ない原因となります。ケーブルの断線であれば事なきを得られるのですが、最悪の場合スピーカーが飛んで使えなくなっていたら、スピーカー交換となって、修理費用もかなりの高額になります。恐る恐る背面のスピーカーパネルを外して中を見てみました。
すると、あれ⁉スピーカーコードが外れてる。何とも拍子抜けでしたがこれが原因でした。
せっかくなので内部のチェックをした所、ダンパーの突き上げロッドがズレています。本当はペダルの奥の四角いボックスに収まらなければならないのですが、こんな風にビニールテープが巻かれていると言う事は何か有ると思い、一度ロッドを正しい位置にセットしてペダルを踏んだ所、ダンパーが効きません。多分以前ダンパーが効かなくなってと言う事で、応急処置でこのような対応をしたのでないかと思います。Rhodes Piano のダンパーロッドは木製なので、ガンガン使うと削れて寸足らずになるのかも知れません。ここも修理するかどうか、オーナー様とご相談です。
後はヒューズが切れていたので、何が有るか分かりませんから暫く通電したままの状態でエイジングで様子を見ます。
2023.08.14暫く時間を置いてスピーカーコードのプラグ部が緩かったので、緩みが無くなるようプラグを加締めました。
また、アンプを外す時や振動によってプラグが外れないように、結束ブラックタイでスピーカーコードをまとめて止めました。この状態でまた暫くエイジングで様子を見ます。
本体を組付けて、最終動作確認をしました。その後念の為1時間程エイジングで様子を見ます。
2023.08.16オーナー様のスタジオにお戻し致しました。音色も綺麗になり、ボリュームを上げると途中から乗っていたノイズが無くなり、改善されたと喜んで下さりとても嬉しいです。有難うございました。
この後、こちらのスーツケースを使用中にアンプから煙が出て来たと言う事で、改めて再修理をする事になりました。こちらが次の記事となります。