Rhodes piano Mk2 73KEY Suitcase Smoke coming from the amp 2023.08.22

ローズピアノ マークⅡ 73鍵 スーツケース アンプから煙が出る故障 2023.08.22

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ピアノ職人・VIRA JAPAN 
(有)ラッキーパイン

2023.09.11 一度修理完了して2023.08.16にお戻しした当モデルですが、その後使用中にアンプから煙が出て来たと言う事で、再度お預かりしました。

早速ステップアップトランスに繋いで通電してみると、1分程経過した時に確かに煙が出て来るのを確認出来ました。

この時は何処から発煙しているのかまでは確認出来ませんでしたが、前回の修理の時にフューズが切れていたので、確認してみるとそのヒューズは再度切れていました。さてさて、これから原因の追究となります。

基板を外して部品をチェックして行くと、片方の回路の抵抗が焦げています。

煙の原因はこの抵抗が焼けたからのようです。

もう片方の基盤も確認すると、抵抗の下に焼けたような痕が有ります。トラブルの原因はこの抵抗の様ですが、何故この抵抗が焼けたのか、他に原因になったパーツがないかを探って行きます。

2023.10.05テスターで部品チェックをして、色々と調べてみましたが、なかなか原因がつかめません。

一番可能性の高いのがパワートランジスターなのですが、テスターで測っても異常が出ません。そこでパワートランジスターのユニットごと交換してみる事にしました。

2023.10.12発注していた部品が届きましたので、焼けた抵抗を交換して状態を見る事にしました。

その後基盤をアンプユニットに取り付けて電源を入れてみました。

念のためスピーカーには繋がないで外部アンプで音出し確認をしました。問題無く発音しました。

万が一が有るので、そばで状況を確認出来るように待機しながら様子を見ました。約1時間通電して問題が無い事を確認しましたが、今後、もう暫くエイジングして、様子を見てからスピーカーに接続して動作確認をします。

約3時間程置いて、スピーカーに接続する前に最終チェックをした所、今度は電源を入れてから暫くするとパイロットランプが暗くなって、音が出なくなる症状が現れました。症状を詳しく調べる為に、電源スイッチのON-OFFを繰り返して、何回も動作確認をおこないました。すると、ビブラートスイッチをONにした時に、15秒ほどで音が出なくなる症状であることが確認出来ました。また、ビブラートがOFFの時はずっと音が出ていますので、パワーアンプ内のもう一つの基盤に問題が有るようです。

この基盤をチェックして行きましたが、どうも原因がはっきりしません。念の為基盤のハンダ剥がれや基板割れを疑って、全てのパーツのハンダを再ハンダ付けしてみました。するとどうやらハンダの劣化による何らかの接触不良が有ったようで、症状は治まりました。

そこでいよいよ本体スピーカーにセットして動作確認を行ってみた所、初期症状が直っていません。おまけにブーッと言ったノイズが乗って来ています。どうもパワートランジスターが原因では無かったようで、再度振り出しに戻りました。

気を取り直して再度アンプのチェックを行って行った所、断線しているワイヤーが有りました。どうも経年劣化でワイヤー類もかなり弱っているようです。

配線関係をチェックして行くと、別のワイヤーも断線している物が有りました。この状態ですとパワーアンプ内はかなり傷みが進んでいるようです。その為いろいろと対応策を考える必要が有ります。

2023.11.18アンプの再チェックを行いました。先ずは配線関係の断線や接触不良を調べて見ると、やはり何カ所か断線やハンダ不良が有りました。その上で基盤の部品を一つ一つチェックして行きました。

画像上側の基盤は問題無く動作する方で、下が問題の基盤です。それぞれの部品の値を調べて行く中で、トランジスターの値が規定値から外れている事が分かりました。

どうもこの部品が原因となったようです。

このトランジスターは2個1セットで働く為に、両方のトランジスターの交換が必要になります。同じ部品が手に入るかどうかも定かではありません。何せ50年程前の物ですからパーツとして手に入るかどうか不透明です。

そこで、当社の在庫品の基盤を取り付けて動作確認をしてみました。

すると、ビブラートをONにした時に、片チャンネルから音が出ていません。スピーカーコードを左右入れ替えても同じ様に右チャンネルが死んでいます。

そこで今度はスピーカーをチェックしました。背面のスピーカーボードを外して中のスピーカーをのぞき込んで見ると3つのスピーカーは純正品でしたが、一つはFenderのロゴ付のスピーカーに交換されていました。

前回2023年7月にトレモロの不具合で修理をした時の資料をチェックしてみると、その時点でこのFenderのロゴ入りのスピーカーに交換されていて、おまけにスピーカーコードが外れていました。

その時もこんなところのコネクターが外れるのは珍しいと思っていたのですが、これはどうも何らかのトラブルが有って、あえて取り外していたのではないかと考えてしまいます。何故ならこのコネクターが外れる事は今まで経験したことが無いからです。しかし、事情はどうあれ、原因究明と対策をしっかりと施して、問題の無い状態に戻さなければなりません。

こちらは、以前のビブラートの不具合の修理をした時の記事です。

2023.11.23スピーカーをチェックしてみると、高音部のスピーカー2個が飛んでいましたので、こちらも当社在庫品の純正の物に交換しました。これで元々のオリジナルの状態に戻りました。

低音側が問題が無かったので、このまま使用します。

やっと問題解決して全ての発音が綺麗に出る様になりました。ただし、通電した後何が起こるか不明なので、後日改めて通電して様子を見ます。

2023.11.24今日は朝から夕方まで、昼の時間帯を除いて9時間のエイジング、通電チェックを行いました。特に問題も無く、アンプ関係もスピーカーも動作しています。この調子であれば、当初のトラブルは解決したと思われます。念の為、もう暫くエイジングで様子を見ます。

2023.11.28今日も全てのパーツを元通りにセットして、5時間程通電してエイジングしました。問題も無く発音もビブラートも動作しています。これで修理完了となります。

2023.12.04無事にお戻し出来ました。今回の修理はアンプの基盤×2交換、高音部側のスピーカー交換×2、そしてアンプの配線の断線、ハンダ不良による再ハンダ、等の作業を行いました。これで問題無く使って頂けると思います。

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