テクニクス TECHNICS SX-P50 鍵盤戻り不良と鍵盤ノイズの修理 2022.09.12

テクニクス TECHNICS SX-P50 鍵盤戻り不良と鍵盤ノイズの修理 2022.09.12

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ピアノ職人・VIRA JAPAN 
(有)ラッキーパイン

2022.09.01当社ホームページからテクニクスSX-P50の修理お問い合わせを頂きました。お問い合わせ内容は、

2001年1月に新品で購入した、テクニクスのSX-P50というデジタルピアノをずっと使用していましたが、 中央のレの鍵盤が、押した後に元に戻りにくくなってしまいました。 また、中央のファの鍵盤を弾いた時の打鍵音が、他の鍵盤の打鍵音に比べて、かなり大きく鳴るようになってしまいました。 20年以上使っているのでもう寿命なのかもしれませんが、一度、修理の専門家の方に状態を見ていただいて、まだ使えそうであれば修理していただけたらと思いご連絡差し上げました。

と言う内容でした。お問い合わせに対して、当社より以下の返信メールを差し上げました。

お預かり時に8,800円の修理下見費用をお支払い頂きます。こちらの費用に関しましては修理の可、不可に関わらずご返金致しかねますので、宜しくお願い致します。
本体を分解して内部の状況を拝見した上で、修理可能な場合は修理代の見積もりをお出しします。
部品の欠品や本体破損等により修理不可の場合は、そのままお戻しするか当社にて廃棄致します。

その結果、9月2日にお客様にてお持込み頂く事になりました。

まず本体の動作確認をした所、黄色いテープを貼った鍵盤の動きや打鍵音に異常が見られました。

取りあえず、お預かりして、修理が可能かどうかのチェックを行う事と致しました。

先ずは、裏蓋のネジを全て外して、内部のチェックを行いました。

ぱっと見では良く分かりませんでしたが、動作不良を起こす場所をよく見ると

打鍵した時に不具合が有った鍵盤部のフェルトが剥がれて下に落ちていました。

このパーツは打鍵時に鍵盤のオモリを受ける時のショックを和らげ、ノイズを軽減するための物です。

取りあえず、剥がれた部分を再接着すれば何とかなると考えましたが

しかし、この状態で接着するには周りのパーツが邪魔して、しっかりと修理が出来そうに有りません。

かと言って、クッションフェルトをしっかりと張り替えるには

鍵盤を外して、オモリも外して、殆ど全てを分解しなければなりません。

そこで、状況をお客様にご説明して、3つの修理方法を提案しました。

すると、お客様より全て分解して、しっかりと修理をして欲しいとご返信を頂きました。

鍵盤を外し、オモリを外し、鍵盤ユニットを完全に分解する作業は、かなり難儀な作業ですが、

意を決して取りかかることにしました。

テクニクスの鍵盤は白鍵の横にストッパーのような突起が有り、

それを押し込むとスプリングが外れて、鍵盤が外せます。

20年以上経っている楽器は、経年劣化が進んでおり、

慎重に作業しないと二次災害が起こるリスクが有ります。

特にプラスティックパーツは、劣化が進むともろくなり、ちょっとした力で破損してしまいます。

否が応でも、作業は緊張します。

黒鍵は白鍵を外さないと外れないので、先ずは白鍵を一つ一つ外して行きます。

白鍵が外れたら、黒鍵はそのまま手前に引っ張れば簡単に外れます。

こうやって、無事に全ての鍵盤を外す事が出来ました。

鍵盤と鍵盤ステイはホコリと汚れを取って綺麗な状態にします。

この時もパーツをひっかけたり、傷めたりしないように慎重に作業を進めます。

次に鍵盤のオモリを取り外す為に、裏からオモリの形状と場所を確認します。

オモリは鍵盤の低音、中音、次高音、高音とで形状が違います。

鍵盤は間違いの無いように各ブロックごとに保管します。

この時も鍵盤のプラスティック部分に欠損や不具合が無いか一つ一つチェックしておきます。

これでやっとクッションフェルトを取り外す事が出来ました。

外してみると、接着剥がれの他に、中央部を中心にかなりへたりやフェルト切れが発生していました。

このままではいずれノイズが発生したり、タッチ感のバラつき等が出ていたと思われます。

張替え用のクッションは厚さの関係で弾性の強いウレタン素材を使用しました。

この上に薄いフェルトを張り込む事も考えましたが、厚さが1㎜増えるとタッチ感がかなり違ってしまうので、

このまま使用する事にしました。

張替えが終わったら、鍵盤回りのホコリや汚れを落としてキレイにします。

特に髪の毛や繊維状のホコリは、鍵盤接点の動作不具合の原因となりますので

全て取り去りました。

あとは、ばらした時と反対の手順で組み立てて行けばよいのですが

これがまた、なかなか難儀で、パーツの組付け順を間違えると、もう一度一からやり直しとなります。

特にコネクターの接続は順番を間違えるとえらいことになります。

何となく修理が完了したと言った安心感から、気持ちが緩みやすく

この最後の作業で時間を費やす事が多く、一番慎重に行わなければならない作業です。

組付けには少々時間がかかりましたが、

焦らず、慌てず、一つ一つの作業をイメージして進めて行けました。

これで、全ての作業は完了しました。

あとは時間をかけて、シーズニングして動作不調等が無い事を確認します。

作業期間は約2週間かかりました。

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