ヤマハ CP60M 修理 2025.02.16
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ピアノ職人・VIRA JAPAN
(有)ラッキーパイン

2025.02.16以前Rhodes Pianoをご購入頂いた長野県のお客様から、CP60Mの修理のご依頼を頂き、本体が有る山梨県まで引き取りに伺いました。

電源アダプターは欠品していましたが、とりあえず鍵盤をセットしてみました。

すると、鍵盤が正常な位置に来ないで、沈んだ状態の物があります。これからどの位の修理、メンテンナンス作業が必要なのか調べて行きます。

2025.02.21当社にあった電源アダプターを取り付けて、音出しをしてみました。すると何とか全ての鍵盤で発音が確認出来ました。ついでにMIDIプレーヤーにつないでMIDIの発音も問題無く動作している事を確認しました。

CPはハンマーのブロック材が劣化して、ちゃんと音が出なくなる事がありますが、こちらのハンマーは大丈夫そうです。

チューニングピンにはサビが発生していて、サビ落としをする必要があります。

プリアンプもボリュームにガリが発生していて、調整、修理が必要です。

全体的には、それなりの傷み具合ですが、製造から40年以上経過しているので、何が起こるか分からない不安が有ります。

2025.03.13暫く間が空きましたが、別の修理が完了しましたので、随時こちらの修理メンテナンス作業を進めて行きます。先ずは、鍵盤をはずして、棚板を見た所、それなりのホコリがたまっていました。修理作業の基本の基、お掃除から始めて行きます。

ハンマーチップの劣化も無いようで、アクションの動作も特別問題になるようなトラブルは見受けられませんでした。ちょっとホッとしました。

作業のトップはアコースティックパーツの修理、調整から始めます。MIDIスイッチも動作していましたので、こちらはほこりや異物の混入を防ぐ為、マスキングテープで覆っておきます。

2025.03.14先ずはピンサビ落としから始めます。この作業はピン1本1本を手作業でサビ落としを行う為、かなり体力を使います。体力と言うよりは、腕の力です。それに加えて、根気が必要です。

このピンサビ落としと言う作業は、以前はそれ程、苦ではなかったのですが、やはり年齢と共にかなり身体に応えるようになりました。

ピンサビ落としと一緒に弦サビも落としておきました。今日はこれで作業終了。暫く手の傷みが続きます。

2025.03.16時間の合間を縫って、外装のクリーニングとバランスピン、フロントピンの磨き作業を行いました。

このバランスピン、フロントピンの研磨作業はとても大切な作業なのですが、通常の修理の時には殆ど行われません。ピンにサビが発生して、鍵盤の動作が悪かったり、鍵盤が戻って来ない等の症状が出てから行われる場合が殆どです。こうやって、問題が起こる前に研磨作業を行う事で、全体の寿命が大幅に伸びます。

2025.03.20今日はお彼岸で、午前中はお寺の法要に参詣した後、工房で作業を行いました。内容は鍵盤の調整と穴コロシの整調作業です。鍵盤の小口が黄ばんでいたので、シートを貼っておきました。

その後、動きが良くなるように穴コロシを行いました。

全ての鍵盤の調整が終わった所で、今日は終了します。

後日アクションの調整を行って、本体に戻すのですが、ふと見たらハンマーフレンジコードが切れていました。この年代のヤマハのフレンジコードは良く切れる事で有名です。まさか、全部交換かと思ってチェックした所、切れているのは2つだけでした。他のフレンジコードを全てチェックしましたが、朽ちて切れそうなフレンジコードは有りませんでしたので、ほっとしました。

2025.03.25フレンジコードの交換作業を行いました。CP60のアクションはドロップアクションと言う方式で、通常のアクションに比べて機構が複雑で調整作業が面倒です。フレンジコードの交換も、普通のアップライトピアノでしたら、アクションはそのままで取り外しが出来るのですが、こちらのドロップアクションの場合はドロップ機構のパーツを外さなくてはなりません。

無事にフレンジコードの交換を終えて、本体に取り付けしました。

その後、アクションを本体に戻すのですが、この時に注意しなければならないのが、アップライトピアノのアクションはそのまま取り付けられるのが当たりまえですが、CP60の場合は、一度鍵盤を収納した状態でなければ取り付けが出来ません。知らないでやると、どこかのパーツを破損する危険性があるので、要注意です。

アクションをセットして、鍵盤もセッティングした所、G3と最高音の鍵盤が正常に戻りません。原因究明と修理を行わなければなりません。これからまだまだ、長い道のりが待っています。

2025.03.28コントロールパネルの清掃と接点復活剤の塗布を行いました。

コントロールパネルは本体から取り外して、カバーも取ってクリーニングした後、Caigの原液で接点復活の調整を行いました。スプレーだと、あちこちに飛び散って二次災害を起こす危険性があるので、スライドボリュームには直接塗り込みました。

作業完了後本体に取り付けて動作確認を行った所、通電は問題無くしていましたが、パワースイッチのランプが切れていました。スイッチは問題無く動作しているので、ランプ切れは我慢して頂ければと思います。

他のスイッチは問題無く動作して、ガリやバリも出ていません。

この状態で一度ピッチ上げの調律を行いました。G3と最高音の鍵盤スティックはスティック修理用のシリコンオイルを塗布して様子を見る事にしました。調律中に中音部の一音に止音不良が有りました。こちらはダンパーフェルト交換が必要かも知れません。まだ、先は長いです。

2025.04.03アクションスティックのチェックを行いました。スティックはハンマーや鍵盤が戻って来ない不具合の事で、古いピアノのアクションで起こり易いトラブルです。このCP60も初めはそれ程スティックは出ていなかったのですが、天気が雨になるとあれあれっという間にスティックが起こります。

幾つか拾って調整しましたが、だんだん数が増えて来るので、改めて一つ一つのパーツをチェックしました。

再度アクションを外して、スティックの修理を行います。

2025.04.04音程を安定させようと調律を何回か行いましたが、使われていなかったピアノの宿命とでも言いましょうか、中々音程が安定しません。おまけに弦の渋滞が有り、止めたい位置でチューニングピンが止まりません。そして、鍵盤を何回かたたいて行くと、ハンマーの動きがシブくなる、スティック一歩手前の状態が幾つか出て来ます。

当初スティックが出て来た時は、チョークで印を付けておきましたが、だんだん多くなって来たので、その都度スティック対策をする様にしました。

2025.04.16出荷調律を終えて、外装のクリーニングを行いました。先ずはキャスターを外してみた所、内部のサビがかなり広がっていましたので、サビ落としをしました。

その後サビ止めスプレーを塗っておきました。

下塗りのサビ止めスプレーが乾いた所で、艶消しブラックで塗装しました。

2025.04.17朝から本体パーツのクリーニングと補修作業を行っています。こちらのパーツは名前は分かりませんが、トーレックスの剥がれが有ったので、接着しておきました。普段は見えない所ですが、やはり剥がれが有ると気になるので、しっかりと接着しました。

全てのパーツを取り付けて、動作確認とビリ付きやノイズが無いか確認しました。

問題は出ていませんので、この状態でエイジングをかけて様子を見ます。

2025.04.30納品日が5月10日となりましたので、再度調律を行いました。ただ、びっくりする位下がっていて、長期間調律されていなかったのと、弦サビ、ピンサビ落としを行った事も一因のように思われます。これで調律は終わりと考えていましたが、あと2回位はやらないと落ち着かないと思うので、連休中に作業を行う事にします。

2025.05.02昨日と今日で調律を行い、やっと安定しました。MIDI出力の音程も有るので、最終的にA=440Hzで合わせました。442Hzから2Hz落として調律したので、安定も良いと思います。あとは5月10日に納品に伺います。

2025.05.10前日から雨が降っていて、納品が心配でしたが納品時には雨も上がり、無事にお納めが出来ました。雨の時はアクションスティックが発生しやすいので、念の為対策用品も持参しましたが、セッティングして音出しをして問題無いことを確認しました。

こちらは2022年1月にお納めしたRhodes Piano Mark Ⅱです。上にシンセやキーボードが乗っかって、とても成長して元気に頑張ってくれていました。