ヤマハ CP80 鍵盤修理

1.  脚のサビ落とし

ヤマハ エレクトリック グランドピアノ CP80の

メンテナンス修理のご依頼をいただきました。

今回の依頼は鍵盤がスムーズに動かないので何とかして欲しいという内容でした。

本来なら鍵盤ユニットとストリングスユニットの両方をお預かりして、

セッティングした状態でメンテナンスするのですが、

修理費用の予算内での作業と言う事も有り

鍵盤ユニットだけをお預かりしての修理となりました。

ただ、折角なので脚もお預かりして、磨き込んで綺麗な状態にする事にしました。

そこで先ずは、鍵盤部を支える脚のサビ落としから始めました。

この記事の事でご相談したい方は、
℡ 0120-045-845 
または bzq21747@gmail.comにメールで問い合わせてください。
ピアノ職人・VIRA JAPAN 
(有)ラッキーパイン

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CP80の脚は経年劣化でサビが発生し、

見た目も古ぼったくなります。

特に演奏に影響を及ぼす訳ではないので、

どうしても放置されたままになります。

サビは放っておくと気が付かないうちに広がって来ますので

一度きちんとサビ落としをしておく事が大事です。

このサビ落としは全て手作業となりますので、

意外に時間と労力がかかります。

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スチールウールやペパーを使って下処理した後

バフ研磨をして仕上げて行きます。

不思議なもので、新しいうちは大切に使っていても、

サビや汚れが付いて古ぼけてくると

人間は物を大切にしなくなり、扱いもぞんざいになります。

これは楽器に限った事ではないようで、

普段使う物、殆どに共通して言える事ではないでしょうか。

ですから、直接演奏や音色に関係ない事でも

手を抜かずにメンテナンスする事が大切だと考えます。

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バフ研磨を終えると新品の様な輝きを取り戻します。

やはり綺麗な状態は気持ちもさわやかになります。

昔は「女房と畳は新しい方が良い」なんて言われていましたが

今ではそんな事を言うと、何とかハラスメントになりそうです。

しかし、新しい状態に戻ることは精神的にも良い働きが有るようで

綺麗になったピアノを弾いたら、音が良くなったと感じる方もいます。

それくらい見た目は私達の心に影響するようです。

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2. 鍵盤調整

1. 棚板清掃

この後本格的に鍵盤の調整に入ります。

お客様からは鍵盤の動きが悪く、引っ掛かりが有る。

その為、時々戻りが悪い鍵盤が有るとのご指摘でした。

不具合を起こしそうなパーツをチェックしようと

鍵盤を取り外して見たところ、そこは、ほこりの山でした。

何年分のほこりなのかは分かりませんが、

これだけほこりが溜まっていれば不具合も起こります。

そこでまずはすべての基本、お清掃から開始します。

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鍵盤下にほこりが堆積する事は良くありますが、

これだけ長い間溜まっていると、やはりダニや害虫の発生が危惧されます。

鍵盤楽器はどうしても鍵盤を外す事がなく

長い間そのままの状態で使用されることが多いので、

健康の為にも定期的にこういったお掃除をする事をお勧めします。

ピアノ等の場合は、調律の時に調律師さんが掃除機でお掃除してくれる事もありますが、

CP80等の鍵盤楽器は、調律をする頻度が少ないのと

アクション等のパーツをはずさないと鍵盤をはずせないので

どうしてもこの様な状態になります。

楽器を大切にしたい方は、是非当社へお問い合わせ下さい。

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鍵盤調整をする前に棚板のお掃除に時間が取られましたが、

楽器の修理やメンテナンスは、新品の時の状態に戻す事が目的ですので

お掃除は大切なメンテナンス作業となります。

内部が綺麗になって初めて、修理メンテナンスを開始出来ます。

逆にホコリが残ったままのメンテナンスはあり得ません。

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2.バランスピン・フロントピンサビ落とし

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ここからバランスとフロントのピンのサビ落としをして行きます。

バランスピンとは鍵盤が動く中心点になる所のピンの事で

フロントピンとは鍵盤手前側の、指でたたく場所の下にあるピンの事です。

鍵盤をはずさないと見えない部品なので、なかなかお目にかかることはありません。

このピンの根本にサビが発生しやすく、サビが発生すると鍵盤の動きに影響します。

その為サビ落としの作業の時は、

パンチング(クッションや高さ調整の為の部品)を外して作業します。

1本ずつ手作業でピンのサビを落としたら、

指の感触でピンに抵抗やザラツキが無いか調べます。

バランスピンが終わったら、フロントピンも同じように作業していきます。

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こちらはフロントピンになります。

バランスピンと違い、フロントピンの形状は少しオーバル(楕円形)になっています。

これは鍵盤の左右のガタツキを調整するためです。

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3.鍵盤ブッシング交換

鍵盤ブッシングとは鍵盤に貼られた赤い布製のパーツです。

鍵盤がスムーズに動く為と、左右にガタつかないようにする働きが有ります。

このブッシングは湿気を吸って膨らんだり、

使用頻度によってはこすれて摩耗したりします。

膨らむと鍵盤が重く動きが鈍くなります。

摩耗すると鍵盤が左右にガタついて、弾きにくくなったり

鍵盤の動きが鈍くなったり、引っ掛かったりします。

その為古くなったブッシングの交換をします。

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実際に鍵盤ブッシングを見てみると

バランスブッシングが摩耗していました。

88鍵のブッシングの張り替えとなります。

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作業は全て手作業になりますので、

それなりに時間がかかります。

先ずは古くなり、摩耗したブッシングの剥がし作業です。

熱を加えて古い接着剤と一緒にブッシングを剥がします。

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88鍵分全て剥がすのは、なかなか手間がかかります。

しかし、ここから再度88鍵分のブッシングを貼るのは

それ以上に手間がかかります。

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古いブッシングを全て剥がした状態です。

この状態で鍵盤を弾いてみると、左右にガタガタと動いて

めちゃくちゃ弾きにくいです。

また、接着剤を綺麗に剥離しないと、

新しいブッシングを貼り付けた時に歪んだ状態になります。

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古いブッシングを剥がしたら、新しいブッシングを差し込んで接着します。

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この作業を行う時には、専用の治具を使います。

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1本1本接着して、治具で固定していきます。

接着剤が乾くまで十分な時間が必要ですので、

鍵盤ブッシングの張り替え作業は非常に時間がかかります。 

接着剤が完全に乾いたら、余分な部分をカットして完了。

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4.鍵盤張替え

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割れや欠けのある鍵盤はキートップを張り替えます。

今回は4本の鍵盤張替えをしました。

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鍵盤交換するために、まずは古い傷んだ鍵盤を剥がして行きます。

熱を加えて接着剤を溶かして行きます。

綺麗に剥がせたら、鍵盤の上面をペーパーで整えます。

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音階ごとに新しいキートップをあてて、間違えが無いか確認します。

ヤマハの純正のキートップを使いますので、色や大きさの問題は有りません。

ただし、接着する位置がずれないようにするのが重要です。

汎用の木口付き鍵盤であれば、位置は考えなくても問題なく張替え出来ますが、

キートップだけを張り替える場合は、

前後左右の位置もしっかりと合わせる必要が有ります。

位置を確認しながら、鍵盤専用接着剤を使って張り込んで行きます。

最終的に鍵盤治具で固定しますが、

左右の鍵盤と前後の位置をしっかりと合わせて固定します。

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5.鍵盤クリーニング

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白鍵はキートップだけでなく、鍵盤の左右の木場や手前の木口も綺麗にします。

特に使用頻度の多い中音部から高音部にかけては

指が隣の鍵盤の側面に当たって、黒ずんできます。

この黒ずみをきれいに落とします。

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特に音色やタッチに関係する事ではないのですが、

やはり、やりたくなっちゃう気質なんでしょうね。

汚いよりきれいなほうが気持ちが良いですから。

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おまけに黒鍵も指のこすれで塗料が剥がれていましたので

こちらも黒鍵塗料で色抜け補修をしておきました。

これも音色やタッチには関係有りませんが、仕上がりで満足感が違います。

こう言うのを自己満足と言うのかもしれませんが

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白鍵も黒鍵も全ての鍵盤をバフ研磨して、綺麗にします。

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特にCPはダンパーを持ち上げる為のスプーンと言う部品が

鍵盤の先端についているので

少しでも抵抗を小さくさせる為にスプーンもバフ研磨します。

バフ掛けしたスプーンはピカピカに光っています。(左3本)

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こうやって88鍵すべての調整が終わりました。

残るは鍵盤を本体に納める時に穴コロシを行います。

問題が無ければ、もう一息で作業完了となります。

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CP80Bの鍵盤部のメンテナンスも最終段階に入って来ました。

鍵盤関係の修理の最後は、鍵盤を本体に戻す時に行う穴コロシの作業です。

今回は鍵盤のブッシング交換をしていることもあって、

穴コロシをしっかりと行いました。

6.ダンパーロッド調整

ダンパーはアコースティックのグランドピアノとは少し機構が異なります。

このパーツの動作抵抗もタッチに影響しますので、

抵抗を抑える為クリーニングと潤滑用パウダーを塗布します。

作業は1本1本行いますので、それなりに時間が掛かります。

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7.鍵盤穴コロシ

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88鍵すべての穴コロシを終えて、本体に鍵盤を戻しました。

当り前ですが、ガタツキや動きの悪い鍵盤は有りませんでした。

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この後アクションをセッティングして、全体の動きを確認します。

本来ならばストリングをドッキングして音出ししながら調整をするのですが

今回は鍵盤部のみをお預かりしていますので、全体の調整はお戻し後となります。

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最後にペダルに位置合わせのチェーンを取り付けて、工場での作業は終了となります。

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この記事についてのお問い合わせは℡ 0120-045-845 
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