YAMAHA CP80 Maintenance 2023.04.04

ヤマハ CP80 修理 ご依頼 2023.04.04

2023.04.04ヤマハ CP80の修理、メンテナンスのご依頼を承り、お持込み致しました。

30年近く使用されていなかったと言う事で、中の状況はどうなっているか少々心配です。

高音部ハンマーに2つ加水分解している物があり、こちらは交換となります。

アクションを外して、内部のチェックです。

鍵盤は年数なりの状態ですが、それ程ひどいダメージはなさそうです。

ダンパースプーンはサビが浮いて来ています。こちら要磨きです。

棚板には年数に応じたホコリが溜まっていますが、こちらも想定内の状況です。

ただ、内部の金属パーツにはかなりサビが発生していて、ダンパーポストワイヤーが錆びついて戻りません。

バランスピンもサビが発生していて、このままでは鍵盤抵抗が大きく、放置しておくと鍵盤ブッシングも傷めてしまいます。

ダンパーロッドもダンパー側のクロスが癒着して、一部剥がれています。

ピックアップにもサビが発生している物があり、メンテナンスが必要です。

このほか、プリアンプのガリやスイッチ抵抗も調整が必要です。

コネクター部もサビが発生していて、接触不良やトラブルの原因になりますので、メンテナンスが必要です。

鍵盤は年数分の汚れが付着しています。こちらもバフ研磨で綺麗にしたいです。

鍵盤バランスブッシングは何とか大丈夫そうです。

フロントブッシングも状態としては良いです。

さて、どこまでメンテナンスをしましょうかね。

今週は修理作業の合間と言った感じで、時間が上手く空いたので早速必要な作業から始めました。

先ずはバランスピンのサビ取りと研磨、シリコン剤での拭き取り作業から開始。

指で触った時の感触が全く違います。

この作業は時間がかかるのと、指や腕が疲れるので長時間は出来ません。

何回かに分けて作業して行きます。

残り時間が少なくなってきたので、ダンパーの天秤のピンを外してみたら、案の定サビが浮いていました。

この場所はペダルを踏んだ時の支点となるため、サビが発生しているとキー、キーと言った異音が発生します。

それを防止するために、ピンを磨いて滑りを良くします。

スチールウールとバフ研磨で新品のような状態になりました。これにシリコン剤を塗布して組付けます。

これでペダルのキシミノイズは出ないでしょう。

時間の有る時に必要な作業は進めておこうと思い、フロントピンのサビ取りと調整作業を進めておきました。

バランスピンだけでなく、フロントピンも調整しておくとタッチがとてもスムーズに感じます。

午前中いっぱいかけて、バランス、フロントのピン調整を終えました。

この作業はビンテージ楽器には必須の作業ですので、最初にやっつけておきます。

午前中の時間が少し残っていたので、ダンパーロッドの調整も行いました。

ダンパーロッドはダンパーペダルを踏んだ時に、全てのダンパーを持ち上げて解放する為のパーツです。

これがこんな状態では、いずれトラブルが起こるります。どこまでやるかは予算との兼ね合いもあるので

先ずはロッドを綺麗に磨き上げておきます。

この状態であれば先ずは問題ないでしょう。

次にダンパーを持ち上げる為のパーツで、アコースティックピアノとはシステムが違うのでなんと呼べばいいのか分かりませんが、便宜上ダンパーポストワイヤーと呼んでおきます。

この金属部にサビが発生して、動きが悪くなり、最悪の場合鍵盤が戻らない状態になってしまいます。

これを一つ一つ外して、磨き込んで行きます。場所が変わるとストロークが違ってくるためあがき調整を一からしなければならなくなるので、全て同じ位置に戻せるようにマスキングテープで部品がバラバラにならないようにします。

全てを磨き込んで仮取り付けしてみましたが、全てのパーツが所定の位置に戻りました。

抵抗もなくなり、これで鍵盤タッチは大幅に改善されるはずです。

圧電ピックアップに1ヵ所サビが発生していたので、サビ落としをしました。

特に大きなトラブルになる事は無いでしょう。

電気回路のコネクター部分は無水エタノールで洗浄して接点復活剤の優れもの、Caig Deoxit D100を塗布しておきます。

コネクター回りは無水エタノールをキムワイプに沁み込ませて清掃しました。

コネクターの金属部はグラスファイバーヤスリで汚れやサビを落とし、接触部は無水エタノールとDeoxitで清掃、接点復活しました。

2023.04.15 これまで外装のクリーニングや鍵盤調整等を行って来ました。

鍵盤はバフ研磨の後、穴コロシの作業や木口の調整等、時間がかかる作業を数日かけて行いました。

鍵盤の先についているダンパーボタンを押し上げるスプーンと言うパーツもサビだらけでした。

鍵盤のバフ研磨と同時にスプーンも磨き上げてピカピカに輝いています。これなら抵抗もなく弾けるでしょう。

鍵盤が終わったら、本体のプリアンプの調整に入りました。

こちらも動作チェックとガリの発生しているボリュームポッドに接点復活剤を塗布します。

加水分解しているハンマーも、在庫のパーツと交換しました。今週の作業はここまでです。

来週は鍵盤やアクションを組み上げて、本体のメンテナンスに入ります。

本日はアクションの調整と鍵盤を本体に乗せての全体の調整を行いました。

先ずは、アクションのハンマー、ウィペンの取り付けビスの増し締めを行います。

この時にハンマーの走りや動作不良も一緒にチェックしておきます。

本体に鍵盤とアクションを取り付けて、いよいよ本体の調整に移ります。

それぞれ調整していたパーツを取り付けて、位置や動きの確認をします。

今までの所、問題無く動作しています。

各パーツをチェックしながら取り付けて行きますが、高音部の拍子木に大きなキズが有ったので、パテ埋めして塗装しました。

その他、破れや破損も目立つところは補修しておきます。

全体のパーツを一つ一つ確認しながら組み上げました。全てのパーツを取り付けた状態でないと、ビリ付きや動作不良、共鳴等の不具合を見落としてしまいますので、先ずは本体を通常使用の状態まで仕上げました。これから発音やタッチ、音色等の動作確認と調整作業を行って行きます。全体の動作状況は良好で、タッチもスムーズに動いています。

本体にペダルを取り付けましたが、位置決め用のワイヤーが欠損して有りません。このワイヤーは殆どの方が無くしてしまいます。本体をばらした時にワイヤー単体が残っていると、何に使う部品か分からず紛失してしまうようです。そこで、チェーンを使って位置決めをして行きます。

このチェーンで位置決めする場合、割とミリ単位での計測が必要で、ちょっとずれるとペダルの異音発生やペダルパーツの破損に繋がります。

先ずはペダルを置いた状態で前後の位置が正しいか目視確認します。ペダルの付き上げ棒がまっすぐ垂直に立っているかどうかで確認します。

次に左右の位置が正しいかどうかの確認は、前方から突き上げ棒が垂直に立っているかどうかで確認します。この時にちょっと斜めっていたりした場合は、左右のチェーンの長さをミリ単位で調整して行きます。

位置が確定したらチェーンとペダルを固定します。今回はチェーンをビニールチューブに挿入してサビ対策もしました。

2023.04.23 調律を行いました。かなり長期間調律されていなかったようでピッチが大きく下がっていました。そこで一度A=442HZ まで上げてから、再度A=440HZに合わせて行きました。こうする事で音程の持ちが良くなり、狂いが少なくなります。後は本体を分解して4月27日(木)にお伺いし、お客様のご友人にもお手伝い頂き、無事納品が完了しました。ただ、2階階段上げはさすがにしんどかったです。

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