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ピアノ職人・VIRA JAPAN
(有)ラッキーパイン
隣家の火事にあったグランドピアノの修理のご依頼を頂きました。
状態が分かりませんでしたので、
2022年5月9日取りあえず現状の画像を送って頂きました。
その姿を見て、大変ショックを受けました。
ピアノはどこに有るのだろう?
よく見ると、ガレキに飲み込まれた状態で、ピアノが置いて有ります。
この姿を拝見した時、オーナー様の心情を思うと
何とも心が痛くなりました。
果たして、この状態のピアノの修復は可能なのかどうか
画像だけでは判断出来ないので、一度下見に伺う事にしました。
2022年5月23日に現場を拝見して、
さらにショックを受けました。
貰い火とは言え、屋根は焼け落ち、
梁も崩れ落ちていました。
ピアノはガレキに埋まっており、
雨水をしのぐ為にブルーシートがかけられていました。
この状態では、ピアノの状態も正確には確認出来ませんでしたので、
ガレキを撤去した後に再度下見をさせて頂く事としました。
2022年6月11日、ピアノの引き取り作業と合わせて
ピアノの状態をチェックさせて頂きました。
ガレキは綺麗に撤去されて、ピアノはブルーシートに包まれていました。
上を見上げると、空が見えます。
ポツポツと雨が降って来ましたが、
何とか天気が持ってもらうよう祈っていました。
案の定、ピアノの状態は悲惨な物で、
何とも言い表しがたい、悲しみにも似た感情が湧いてきました。
気を取り直して、アクションを外し、中をチェックして行くと
水濡れがそれ程でもなかったのか、
塗装面の割れや破損は少なかったので、ちょっと希望が湧いてきました。
しかし、それでも内部はガレキが残っており、
とてもピアノと言える状態では有りませんでした。
先ずは、再生可能かどうかの下調べをして行きます。
本体は塗装面と弦、ダンパー、ピン板のトルクチェックを行い、
何とかなるかも知れないと言った、一筋の光が見えて来ました。
しかし、殆どのパーツは交換となるため、修理費用が高額になります。
何とかお客様のご要望にお応えしたい気持ちと、現実のコストの間で
満足のいく修理をどうしたら出来るか、イメージ作りをして行きます。
ピアノ本体とは別に、鍵盤とアクションは
外した状態で持って来ましたので、
先に鍵盤、アクションの状態を確認します。
白鍵は火事の熱とススやガレキで、割れや焼けが発生しているので、張替えになります。
ブッシングも全交換です。
この時点で被害にあってから既に2か月が経過していましたので、
下処理として、サビ落としをして、パーツの破損、汚損状況を確認します。
中には木に割れが走っているものもあり、
これらは全て一つ一つ接着して行きます。
アクションのおさは、暫く平らな机の上に置いて、シーズニングします。
その後、アクションを外して、各パーツの状態を確認します。
この時にアクションブランケット等も外して、
サビ落としをしてから再度取り付けします。
サビたままの状態では、いずれ不具合が発生しますので、
サビは丁寧に落とし込んで行きます。
アクション部品のウィペンは形状が古い為、
新品部品では適合しない可能性が有るため
一つ一つ取り外して、使用可能かどうかをチェックします。
一部フレンジが割れているものが有りますので、こちらは交換して行きます。
部品は同じですが、一応全て番号をふって、ビスも番号毎に分けます。
新しいパーツに関しては、こんな面倒な作業は必要無いですが、
古い部品は、そのままの場所に付けないとトラブルを起こす場合があるからです。
取りあえず鍵盤の下処理とアクションパーツの下処理をします。
鍵盤は悲惨な状態です。
今後は本格的に修理をするかどうかを検討して、
本体の作業にはいります。
アクション関係のパーツは、外した状態で暫くシーズニングします。
これは、反りや割れが出ないか、時間を置いて調べる為です。
この間に鍵盤張替えをします。
白鍵はひどい状態でしたので、全て張り替えます。
取りあえず高音部の半分を張り替えました。
黒鍵は何とか生きていますので、木場の色落ちを補修します。
アクションブランケットにウィペンを取り付けて行きます。
パーツが使えるかどうかのチェックと、弦、ピン交換した時の調律を行う為に
取りあえずオリジナルのパーツを使います。
ハンマーは火災の時のガレキや煤が付着して、痛々しい姿です。
あくまで仮の状態ですが、次の作業に進むため、音出し出来る状態までメンテナンスします。
キャスターがサビで固着して、全く動きません。また、キャスターを取り付けているネジもサビで固着して、キャスターの取り外しが出来ず、ビス頭をドリルでカットして、何とか時間をかけてペダルを取り外しました。これからキャスターを動かせるようにして行きますが、暫く時間がかかりそうです。
キャスターが動くようになったら、脚を本体に取り付けて本体の修理に入る予定です。
そんな、こんなしているうちに、鍵盤とアクションの動きを再チェックしたら、鍵盤抵抗が出て来ました。ブッシングの膨らみが原因の様で、再度鍵盤調整を行います。また、最終的にハンマーは交換しますが、現時点でアクションが正常に動くまで、KEYの一つ一つの動きを見て行きます。
2022.12.01本体の修理に入りました。
グランドピアノを開いて作業するスペースが取れず、組み立てるまで時間が掛かりました。
そこで中にあったガレキを取り除いて、全ての弦を取り外し、
パーツ類の確認の為掃除して響板と駒の状態を見てみました。
するとやはり案の定駒割れが発生しており、このままでは使えません。
予想はしていましたが、やはり当初の予定より大がかりな修理になります。
当初のご予算内で仕上げられるか微妙な状況ですが、
中途半端な修理は出来ませんので、とにかく修理を進めて行きます。
響板をはじめ、他のパーツもどんな状態になっているのか、
これからの作業で色々と出て来そうです。
本体を塗装に出して外装と響板、フレームの塗装を完了させました。
その間、各種交換パーツを入手して修理の準備を進めておきました。
塗装後、駒の交換、フレームの組付け、圧出し、張弦と進めて行きます。
今月中の仕上げに向けて、作業は急ピッチで進めます。
ただし、元の状態が大変な状態だったので、一つ一つチェックしながらの作業となります。
張弦は完了して、これからダンパー付け、アクション調整へと進みます。
問題無くスムーズに作業が進むことを願っています。
鍵盤、アクション、ハンマー、ダンパーを交換、修理していよいよ最終段階です。
最初の状態を考えると、良くここまで再生出来たと感慨深い思いになります。
ハンマーも新品に交換して、キレイになりました。
お預かりしてから約9カ月、最終調整に入ります。
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