ヤマハU1H 水性塗料 全塗装

1.環境負荷を考えたピアノ塗装

これまでピアノの塗装はウレタンかポリエステル塗料が中心でしたが、

今回はお客様の依頼で水性塗料で刷毛又はローラーでの塗装となりました。

これから先の世界の環境問題を考えた時、石油系の便利な材料の使用は

どこかで変換していかなければならない課題だと思います。

そんな事もあって、これまでピアノの水性塗料での塗装は未経験でしたが、

思い切ってお受けしました。

しかし、何と言っても水性塗料も、刷毛塗りもまだまだ経験不足です。

万が一失敗した場合、ピアノをもとの状態に戻すことが出来ず、取り返しのつかない事になります。

ただ、塗料はお客様の方で、ベンジャミンムーアの水性塗料指定でしたので

実際にベンジャミンムーア青山フラッグシップショップまで下見に行きました。

この記事にご興味のある方は、こちらからメールかお電話でお問い合わせ下さい。℡ 0120-045-845
またはbzq21747@gmail.comにメールで問い合わせてください。
ピアノ職人・VIRA JAPAN
(有)ラッキーパイン
〒243-0804 神奈川県厚木市関口466‐1

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ベンジャミンムーア青山フラッグシップショップでは、スタッフの方に

塗料の性質、塗り込み方法、乾燥までの時間、硬度、密着度等をしつこいくらいお聞きして

ある程度塗装作業のイメージと仕上がり状態をイメージすることが出来ましたので、

スタッフの方のアドバイスに従って、下塗り用プライマーと塗料の「Aura」を注文購入する事にしました。

ピアノの場合、塗装はコンプレッサーを使ってスプレーガンでの塗装が殆どでしたので、

水性塗料で刷毛塗りの仕上がりがどの様な状態になるのかが一番心配です。

先ずは予備のピアノのパーツを使って、実験塗装をスタート

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2.水性塗料の可能性

これまでヤマハCP80と当社の軽トラックを水性塗料で塗装したことはありますが、

純粋なピアノの塗装は初めての経験となります。

ヤマハCP80はお客様からのご依頼で、「ブルーで塗って欲しい。」のオーダーでしたので

試行錯誤の上、やはり水性塗料を使って塗装しました。

軽トラックは自社で購入し、やはり刷毛塗りの水性塗料で仕上げました。

この2台の経験が有ったので、ピアノもほぼ同じ仕上がりになるだろうと予想出来ました。

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3.ピアノの水性塗料、刷毛塗り塗装

実験用の塗装が割と上手く行ったので、いよいよピアノ本体を塗装して行きます。

塗装では下処理が大切で、この下処理の手を抜くとロクなことは有りません。

これまでガン吹きでポリエステルやウレタンでの塗装は何回も行った事は有りますが、

ガン吹きの時も下処理をしっかりしないと、良い仕上げにはなりません。

何事も、「急いては事をし損ずる。」、入念に下処理作業を進めて行きます。

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ガン吹きの場合は、下処理をしたら一気に塗ってしまいますが、

水性塗料の場合は塗料の伸びや密着を見ながら、パーツ毎に結果を見ながらの塗装作業です。

通常の塗装作業の2倍から3倍以上の時間がかかります。

昔から塗装修理は時間をかけたほうが仕上がり具合は良いと言われていました。

それが、ポリウレタンやポリエステル塗料の登場によって、

硬化までの時間が短く、なおかつ厚塗りの塗装が出来る為

午前中にガン吹きしたら、夕方には研いでバフがかけられ、

その日のうちに仕上げられるので、重宝されています。

しかし、水性塗料はそんな訳に行きません。

塗っては乾かし、乾かしては塗るの、昔ながらの塗装作業です。

それでも本体の塗装がほぼ完了したときは、嬉しいものです。

ここからまた、塗面の仕上がり具合を見ながら、補正作業に入ります。

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本体の塗装が終わってからは、各パーツの塗装に入ります。

水性塗料の性質もある程度分かって来て、作業がスムーズに進むようになりました。

また、本体にほこりや汚れが付かないようにラッピングフィルムで養生しながら作業を続けます。

今回の塗料は水性の艶消し塗料の為、金属部品にサビが出ても塗装面を磨く事が出来ませんので、

エンブレムや鍵などの金属部品は全て取り外しました。

艶消し塗料の唯一の欠点かも知れません。

鏡面仕上げの場合には、金属部品にサビが出て来たら、塗装面と一緒に

バフ研磨して綺麗にする事が出来ますが、艶消し塗料はそれが出来ないのです。

従って、艶消し塗装の場合は金属部品は取り外してしまいます。

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4.KORGサイレントユニットとBOSE SPEAKER取り付け

こちらのピアノは塗装以外にKORGサイレントユニットの取り付けもご依頼頂きました。

サイレントユニットはピアノ本体からの音をストップして、コントローラー内に

内蔵されているピアノのサンプリング音源をヘッドフォンで聞く事が出来るシステムです。

ご近所への音の問題や、練習時間が夜間になる等、取り付け需要は増えています。

また、お客様からのご依頼で、ピアノ内部にBOSE製のスピーカーも取り付けしました。

取り付けて、音を出して見たところ、本体の音とスピーカーの音が重なると、

重低音がより一層重厚になり中々の迫力です。

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通常はコントロールユニットとストッパーを並べて鍵盤下に取り付けるのですが、

白いピアノなので、コントロールユニットは別に置きたいとのご要望で

ピアノ底板に25Φの穴を開けてコード類はそこを通して

コントロールユニットはピアノの隣に置けるようにしました。

本体の音を止めるストッパーだけは、鍵盤の下の位置に取り付ける事にしました。

配線関係がおさまるといよいよ仕上げに取り掛かります。

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5.モールディングと燭台取り付け

仕上げは上前板にモールディングと燭台の取り付けです。

これもまた、なかなか大変な作業です。

白の艶消し塗装のピアノと言う事で、何もないと寂しい感じがします。

お客様も当初から、燭台の取り付けとモールディングをご希望でしたので、

お客様に各パーツを選んで頂き、当方でそれを貼り付ける事になりました。

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先ずは燭台の取り付けから始めました。

何故ならモールのデザインがまだ決まってなかったからです。

取りあえず燭台を取り付けた後に、モールを取り付ける事にしました。

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燭台の取り付け位置は、鍵盤ブタを開けた時に当たらない高さを決めて

その後、左右のバランスを見て位置出しをしました。

また、左右の燭台が曲がって取り付く事のないように、垂直の位置決めも行いました。

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燭台の位置が決まって、ビス止めした後に一度燭台を取り外して

今度はモールの取り付け位置を決めて行きます。

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これも左右の寸法とモールの水平をしっかりと測って位置出しします。

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センターのオーナメントも、中央位置決めから左右の位置出しと角度を決めます。

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目分量で取り付けてしまうと、あとで水平位置が違っていたりしますので、

チェックポイントを決めて水平もしっかりと出し、左右もそろえます。

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全てのモールを接着し、乾燥したらモールの反りによる浮きが無いようにしっかりと接着します。

これでモールも燭台の取り付けも完了しました。

ここからは細部の微調整や補修作業に入ります。

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いよいよ最終調整に入って、各部のチェックと部分補修を行いシーズニングとなりました。

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ピアノをお預かりしてから作業完了まで約5カ月でした。

この間、色々な問題に出くわしましたが、一つ一つクリアーして完成の日を迎える事が出来ました。

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6.納品

明後日にお納めが決まりましたので、キズや汚れが付かないようにピアノを養生しました。

燭台やサイレントユニットのスピーカーも現場で取り付けるようにして、すべて取り外しました。

あとは無事に納品が完了することを祈っています。

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お戻しの日、2021年7月2日は、昨日からの豪雨が続いて朝から大雨でした。

雨対策として、ピアノをスチレンペーパーで養生してから

フィルムラップでグルグル巻きにして

アップライトピアノ用ビニール袋を被せて

その上からブルーシートで覆って雨対策をしました。

その甲斐あって、納品時は強い雨でしたが全く濡れることなく無事にお納め出来ました。

お納めすると、何とも言えない満足感と一抹の寂しさが有りました。

これまで毎日、ここはどうしよう、今日はこれをやってみようと、

工場に入れば白いピアノが目に留まっていつも私を待っていてくれるような感覚でした。

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水性塗料での全塗装は、何かと悩まされる事も多かったですが

とても楽しくやりがいのあるお仕事でした。

こんなチャンスを頂いたお客様には心から感謝申し上げます。

世界的にも脱石油の傾向に向かう中、水性塗料の価値は今後大きくなってくると思います。

どなたか、ピアノの全塗装をご検討中の方がいらっしゃいましたら、水性塗料での塗装をご依頼下さい。
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